第三二話 奈良県
飛鳥 『ライトに古墳・万葉飛鳥一日観光』 後編

ソノひびヨリ

2023年 12月10日 

飛鳥寺」日本最古の仏像
道に迷い迷い、不思議なモノと接近遭遇

 さぁ、お腹も満たし、再度「石舞台古墳」方向へいざ出陣です。向かうのは、駅前のビジターセンターで知った「奥明日香稲渕地区」にあるちょっと気になる「不思議なモノ」と日本棚田百選の1つである「稲渕の棚田」だ。

 途中、田園風景に気を取られ迷いながらも「稲渕地区」に到着。早速、ちょっと気になる「不思議なモノ」を探そうと思えば、すぐそばに「そのモノ」が現れた~。それは「飛鳥川」に渡されている綱にぶら下がった「藁の物体」だ? その名を「男綱」と言い、それは、毎年正月に行われている「稲渕の綱掛神事(つなかかけ)」で掛け変えられる「勧請綱(蛇形や男女の性器に模した綱)」なのです。なぜ川に渡されているか?は、悪疫などが川を通って村に侵入することを防ぐためらしいです。(余談ですが、この数日後やはり奈良県宇陀でよく似た「男綱」を龍穴神社・奥宮で見ました。その模様は前号にて掲載しています。)

ヨーロッパにもよく似た考えの厄除けがある、どこの国でも似てますね。

 不思議な「男綱」の謎解きができた、次はここから直ぐの「稲渕の棚田」に向かいます。途中の道は「案山子ロード」と言われていて、流行りに合わせた笑える案山子が立っているから、急な坂道も案外楽しいですよ~。坂を登り切れば「棚田」を見渡せる「朝風峠」に到着。季節が悪いのか? 少し期待とは違っていた・・・、田植えの頃や稲穂が実る頃が美しいだろう。時間を見れば、もう3時前だ! まだ、回りたい所があるので奥明日香を後にすることにした。

「案山子ロード」に立つ人気落語家案山子だと思う。日本放送協会の番組で来たのかな(笑)。
「朝風峠」から見た「稲渕の棚田」。ちょっと残念の季節でした・・・。
「稲渕の棚田」に向かう途中、側面から眺めた棚田です。私的にはこちらの構図が好きです。
明日香は驚きの連続、サービス満点!?

 奥明日香稲渕地区から一路、来た道を3.5km戻り「飛鳥寺」へ到着、拝観料350円を払い寺院内へ。境内に入れば「?」驚くほど小ぢんまりとしたお寺だと気づいた。ここも45年前に訪れた、遠い記憶の中ではもっと大きなお寺と思っていた・・・。

 チケットを握り本堂へ入る、タイミング良くボランティアさんの話が始まるところだ。その話を聞けば「飛鳥寺」には複数呼び名があるらしい、「法興寺」または「元興寺」とか・・・ややこし過ぎる(苦笑)。造営時期は、6世紀末から7世紀初頭にかけてと言われ、「蘇我氏」の「氏寺」で本格的な伽藍を備えた日本最初の仏教寺院らしい。

その昔は広い敷地だった「飛鳥寺」。現在は田畑の中に建つ小さなお寺ですね。

 約15分ほどでボランティアさんの話が終わり、見たかった「飛鳥大仏」に接近

~。するとすかさず、ボランティアさんが「撮影OKですよ!」。もうビックリ「撮影OK」なんですよここは!? 信じられない、だってこの仏像は重要文化財なんですよ! 609年に止利仏師によって造られた日本最古の仏像、鎌倉時代の火災で顔と手以外が失われた(消失した部分は後に補修)と言えど1400年前の貴重なお宝を!! 普通なら国宝級なのに残念なことに「当初の部分が少ないと」と考えられ、国宝には指定されなかったみたいです(涙)。穿った見方をすれば、蘇我氏のの御本尊だからか指定されないんでしょうかね?

顔立ちがなんとなく大陸ぽいかな・・・・。早く国宝になってください!

 「飛鳥大仏」をゆっくり拝見後、境内に出れば「蘇我入鹿の首塚」の案内板があり、それに従い西の門から外へ。目に入って来たのは広い田畑の背後に、まるで借景のように蘇我宗家の本拠地「甘樫丘」が映る。その中心に蘇我入鹿を祀る五輪塔「首塚」が佇んでいる。

 乙巳の変(大化の改新)で首を跳ねられた入鹿、「飛鳥板蓋宮」からここまで(約700m)首が飛んできたという。よほど家に帰りたかったんだろう・・・、歴史では悪者扱いされているが何となく同情してしまう。首塚には献花があり、村の人たちに大切にされている感じがする。勝者が残した歴史が全てではないと再認識し、本日最後の訪問先へと向かう。

五輪塔を見ていたら人の姿のように見えた。田畑に佇み邸宅を見つめる入鹿の姿に。

 次に向かったのが「飛鳥寺」から近い「奈良県立万葉文化館」。「万葉文化館」は、日本の古代文化を調査・研究、万葉に関する文化の振興を図る施設で平成13年に開館した万葉ミュージアムです。エントランに入って、入館チケットを購入しようと窓口を探してもない? 近くに居たスタッフさんに尋ねてみれば「当館は無料ですよ(笑)」。驚きの余り「えっ、ただなのですか?」と馬鹿みたいに聞き直してしまった・・・。本当に、明日香は驚きの連続だ。

 唖然する私にスタッフさんが「時間があればご案内しますよ」と追い討ちをかけるように親切に問いかけてきたのです。「旅の好意は受けるべし」を胸に刻んできた私は、そのご厚意をもちろん受けることにした。

 地下1階の6つのコーナーの「万葉展示」から、中庭?になっている「飛鳥工房遺跡(復元)」などを閉館時間ギリギリまで親切に説明していただきました。閉館前の短い滞在時間だったけど、ここは飛鳥観光の穴場と思いましたよ! 徒歩圏内に沢山の遺跡・史跡があり立理条件がいい、是非、飛鳥に来た折には来館して欲しい施設です。

 そろそろ自転車返却時間だ、「万葉文化館」を出ると日は落ちようとしている。駅前へ向かう途中、日の落ちた美しい葛城山と金剛山を眺め万葉飛鳥一日旅を終えた。

立派な「奈良県立万葉文化館」、ここが無料なんて信じられない。
キモカワのセント君がお迎えしてくれます。
中庭に当たる場所にある「飛鳥工房遺跡(復元)」。この地中深くに本当の遺跡を眠らしているのです。
未来の考古学者のために。
向かって左が金剛山で右が葛城山。あの山を越えて大阪湾から渡来人たちはやってきたのか・・・。

タイトルとURLをコピーしました