第二八話 熊本県 阿蘇くじゅう国立公園
『阿蘇パワーをいただきます』 後編 

ソノひびヨリ

2017年 7月16〜18日

阿蘇火口
阿蘇火口を安全地帯より眺望

 

震災で倒壊した肥後一の宮の復活〜! そして、そのご神体へと近づく。

 次の日の朝は火山の塵もなく、快晴! 知人宅から近い、肥後の国一の宮「阿蘇神社」に参拝です。もちろん、ここも凄いパワスポなんだけれど、何よりも熊本地震からの復旧が気になり訪れた。

震災から3ヶ月後に訪れた時(彼たちの引っ越し祝いに)の惨状を見ていたからだ・・・。そのありさまは、境内の社殿のほぼ全域が惨たらしいほど被害を受てけいた。「阿蘇の農耕祭事(国の重要無形民俗文化財)」などもあり、地域の人たちの信仰の中心になっている大切な神社なのです。この神社の再建をなくしては復興を語れないと思いここにきたのです。

 「阿蘇神社」のことを簡単に説明すれば、全国に約500社ある「阿蘇神社」の総本社であり、神武天皇の孫神の「健磐龍命(たけいわたつのみこと)」をはじめ12神を祀る、2000年以上の歴史がある古社なのです。古来の阿蘇山火口をご神体とする「火山信仰」と融合し、現在の信仰の形になっている超メジャー級パワスポ。

 神体の火口部周辺にこれから向かう、安全を祈願して「さぁ、スタート!」。※この時、2016年10月に中岳が爆発的な噴火のため火口付近に立ち入り禁止になっていた。

阿蘇神社
右が「二の神殿」、左奥が「三の神殿」。
阿蘇神社
「一の神殿」、3つの神殿が美しく修理されていた。よかった。
阿蘇神社
震災後、2ヶ月の姿だ・・・、参拝に来た人の心中を察するありさまです。

 「阿蘇神社」より車で約30分ほど走り、まずは草千里のパーキングエリアに到着。車を降りて目の前に広がる草原へ歩いて行く。ここは「草千里ヶ浜」と言い火山を一望できるビューポイント。ここには当然、海はないのになぜ「浜」なんだろうか? 賽の河原の様な所だったんだろうか、不思議だ・・・。

 ここまで来れば、火山性ガスの匂いがする、火口に近づいてきたことが分かる。もう少し近づいてみることにして、規制線のある「阿蘇山上神社」まで行くことにした。

火山博物館
レストハウス、火山博物館があるパーキングエリアの草千里。
草千里ヶ浜
左・「草千里ヶ浜」より火口を望む。
右・駒立山へ眺望を楽しみに遊歩道を歩く観光客。そんなに高い山じゃないので、景色は変らないと思ったので行かなかった。 

 車中に火山性ガスの匂いが強く感じだしたころ、「阿蘇山上ロープウェイ」駐車場に着いた。当然、ロープウェイは止まっている、昨年の地震と噴火で甚大な被害を受けていた(現在は廃業)。ロープウェイは支柱だけが残っている、その光景には災害の恐ろしさよりも自然界の修復能力に脅威を感じた。ここはある意味、凄まじい大自然のパワーを持つスポットだ。

 そこに鎮座する「阿蘇山上神社」、ご神体の火口を遥拝するための拝殿があったらしい。古くは、麓の阿蘇神社「下宮」に対して「上宮」と呼ばれていた。神社の裏手は火口への徒歩道となっているが、規制線のロープが張られて通行禁止だ、火口(ご神体)に向かい静かに遥拝をし、ここを後にした。

阿蘇山上神社
この時の「阿蘇山上神社」、ロープウェイもこの惨状だ・・・。
阿蘇山上神社
橋のある道が「阿蘇山上神社」、規制線がはられ通行止めだった。
三面不動像
神社の横に建っていた「三面不動像」、何か神社と関係があるかは分からない(苦笑)。

 
 

阿蘇の超ローカルなパワスポ! とにかく階段を昇り続け・・・たどり着くのは?

 「阿蘇山上神社」から反時計廻りにカルデラを半周ほどすれば(車で約30分)、目的の阿蘇郡高森町「上色見熊野座神社」に到着した。車が無いと来にくい所なので、参拝者用の無料駐車場がある、ありがたく利用させて頂いた。駐車場から約70mほどの場所に参拝道の入口がある。

上色見熊野座神社
参拝道の入口の鳥居、ちょっとゆるキャラ風の狛犬がいた。

 ここは熊本で、密かに人気を集めるパワースポットなのです。人気漫画・アニメ作品(熊本県出身・漫画家 緑川ゆきさん「蛍火の杜へ」)の舞台になったことが切っ掛けになり、訪れた人たちの口コミで全国から多くの人が訪れるようになったようだ。この日も駐車場には他府県ナンバーの車が止まっていた、参拝者もちらほらいる、ではお宮まで約300m・約280段の石段を昇ってみよう!

 歩き始めは、石段を少し昇れば平坦な道に変る「これは楽勝だ〜!」と、思ったのはこの時だけで・・・試練は待っていた。

 ふと思ったのだが、国道から歩き出したばかりなのに不思議なくらいに音が無くった! これぞパワスポの片鱗なのか。

上色見熊野座神社
右・石灯籠が並び立つ参道、まだまだ先は長い。数人の先達が歩いています、追い抜かしま〜す(笑)。
左・先達を追い越して、いいスピードで前に進む〜。

 しばらく歩くと、木立が深くなり怪しい雰囲気なのだけど、斜光が届けば美しい世界に変る。石段と石段の間に木の根が所々に現れているので、前ばかりに見とれてはいられない、足元には要注意だ! 

 そして、石階段が緩やかに左カーブしている所から、傾斜がキツくなってきた。そろそろ本領発揮だろうか、この辺りから空気感が先ほどとは違い濃く感じる、異界への入口のようだ。

上色見熊野座神社
上・まだ、規則正しい石段で歩きやすい。
下・左カーブの辺りから、石段も不規則になり傾斜もキツくなってきた。

 そから、しばし10分ほど石段を昇れば「二の鳥居」が見えてきた。その遥か上に拝所(お宮)の姿も確認できた。ただ、ここから傾斜はさらにキツくなるのだ、覚悟して石段を昇る。

 左右均等に並ぶ石灯籠が幽玄な世界観を演出している、そのありさまを見ていると太古の昔からここに住む人たちより、大切に守られてきたことが窺われる。また、このあたりが先ほど述べたアニメ「蛍火の杜へ」の重要シーンに使われている「聖地」にあたるらしい。

上色見熊野座神社
二の鳥居をくぐれば、もう少しで拝所。先に若い夫婦が行ってしまった・・・、
この傾斜は45度ほどある感じだ(苦)。

 ようやく拝所に到着、参拝を終えてお宮の由来を読んでみた。このお宮に祀られているのは「伊邪那岐命(いざなぎのみこと)」、「伊邪那美命(いざなみのみこと)」、「石君大将軍(健磐龍命の荒魂 ※神の怒りの姿)」と書かれていた。今朝、お詣りした「阿蘇神社」「阿蘇山上神社」と繋がっているんだ、神社名に「熊野」が入っているので「素戔嗚尊(素戔嗚尊)」もお祀りしていると思ったが・・・。そんな事を考えていれば、お宮の裏から「次、行くよ!」て声をかけられた。驚いて、お宮の裏にまわると、「なんと!」自然石を積んだ階段が・・・。

上色見熊野座神社
深い森林の中に佇む、素朴だが雰囲気があるお宮。あとで見れば、お宮の後に階段が写っていた。

 裏にまわり話を聞けば、この上にご神体の「磐座」があるのだ。ただ、この参道はもう岩登りに近い角度だ! ここから先は「無理」と思えば止めることだ、最悪滑落の恐れもあるから。昇るなら用心を重ね、最深の注意を払って昇ること。

 急な傾斜を這いつくばるように登ると、大きな一枚岩に空いた穴が見えて来た。これがご神体の超絶パワースポットの「穿戸岩(うげといわ)」だ〜! 縦横約10mもの大きな穴は、阿蘇山の神・健磐竜命の従者「鬼八法師」が蹴破ったと伝えられていて、「大きな岩山に風穴が貫いていることから、どんな困難でもやり抜き通せる」とされている。そんなことから、この岩に触れると合格や必勝のご利益があるのだそうだ。もちろん、しっかりと岩に触れ、洞穴にあるお賽銭箱に小銭を入れてお詣りをした。ここの足場も斜面になっている、気をつけて〜!!

上色見熊野座神社
上・這々の体で這い上がり、ここまできた。そこに現れるは巨大岩!
下・穴の中はこれほど傾いている、真っ直ぐ立つことが困難だ・・・。

 お詣りの後は下山だ、転がり落ちるように駐車場へ戻った。ここの場所は、昇るのが辛いですが非日常の空間に触れたい人に、ぜひ訪れて欲しいパワースポットだった。

 余談だが、ここで不思議なことがあった、それは駐車場で同行者が忘れ物に気づいた。どうやら、頂上の「穿戸岩」で記念撮影をした時に帽子を置き忘れてきたのだと。その帽子は大切な物なので、若い二人で取りに行くことにした。車で待っていたところ、5分もせず帰ってきた。聞く所によると、参道入口の鳥居の横に帽子があったと、それもちゃんと置いてあるように。頂上にも、下りの階段でも誰ともすれ違わなかったのに・・・。最後にそんなことがあった「阿蘇ローカルなパワスポ巡り」だった。

外輪山
阿蘇の外輪山を眺め帰路に着くのだ

  

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