vol.15 旅を始める前に 
呑んだも呑んだ、煩悩の数だけ

旅を始める前に リレーエッセイ第十四回

奥深き日本酒を求め、まだまだ道半ば

 あぁ~呑んだも呑んだ~! 一つのカウンター席で三年六ヶ月、飽きもせず「酒のムラタ屋」で。その数、煩悩と同じ「一〇八」種類の日本酒と肴たち。日本酒は「一都一府三三県(まだ、全国制覇していない・笑)の地酒を中心に頂き、肴も「一〇八」種、ほぼ被る事なく酒に合う料理を選ぶことができた(ムラタ屋の大将に感謝)。今回は煩悩の数をクリアーしたことで、まずは一区切りにして総括をしてみたい。

 まず、自分が呑んだ日本酒の分布図を作って調べてみたら「なんと!」、東北エリア六県で三八銘柄が一番多い。関東・中部エリア一都九県で三〇銘柄、近畿・北陸エリアの一府六県では二三銘柄で酒どころが多い割に少ない(驚きだ)。そして中国・四国・九州エリアにあつては一一県で一七銘柄のみ・・・、やはり南九州より以南は焼酎文化だからだろうか? 不思議だ。この事実を鑑みれば「ムラタ屋」の大将の仕入れに偏りがあるのか? 酒問屋に問題があるのか? この先、大きな問題点が露見した、この先是正してもらう事にしよう(笑)。

 まぁ、堅苦しいことはさて置き各エリアで「思い出に残る、また呑んでみたい」銘柄を再度紹介してみよう。

 まずはよく呑んだ「東北エリア」からだ。とにかく東北のお酒にハズレが少ない! 口に合わない銘柄は基本、「おれがむらただ! 一合一肴」では紹介しないことにしているんです。だから迷ってしまうのですが、ここは独断と偏見で涙をのんで銘柄チョイスです!

 やはり忘れられないのが山形県の「初孫」、このお酒は大将の友達がお土産として持ってきた一本だった。米の旨味の後ろに「何か」が隠れている(笑)、少し熟成感のようなものが燗酒にすれば浮き上がってくる。お店でも「初孫」のシリーズを仕入れている、お目にかかった時には頂いて欲しい銘柄です。

 次はちょっとしたレア者です、県外不出と言われる新潟県の「鶴の友・純米酒」です。もう~このお酒は「昔ながらの日本酒」って感じで、呑み疲れせずひたすら呑める魔法の水(酒)なのです! 新潟に行くことがあれば地元で一献したいと思わせるお酒だ。 

 さぁ、次のエリアは「関東・中部エリア」です。関東では衝撃的だった栃木県の島崎酒造「熟露枯(うろこ)山廃・純米酒  洞窟低温熟成酒」ですね! 名の通り、洞窟でゆっくり低温熟成させたお酒。淡いカラメルの風味の後に上品な甘さが広がり、旨味がきっちり追っかけてくる旨酒でした。

 中部エリアは難しい・・・、長野県を入れてしまっているから(笑)。このエリアは個性的なお酒が多かったような気がしています、そこで選ぶのは「普通のお酒」「日常酒」。長野県の大澤酒造「大吉野 純米」です、醸造アルコールを添加しない「純米酒」で飽きがこない安定したお酒です。

 そして、「北陸・近畿エリア」は「う~ん、数を呑んでいないから更に難しい・・・。でも、富山県の「玉旭 豊醸 純米 山吹」は直ぐに思い出せる! このお酒も約二年間「蔵内貯蔵熟成」をさせていて、好みのお酒だ。商品名の通り、酒の色もほんのり山吹色。熟成酒なのに癖が無く、さっぱり感があり落ち着いた旨味とコクでした。

 「近畿エリア」は酒どころ兵庫県を差し置いて和歌山県の「車坂」が印象的だった。女性杜氏さんの「きもと造り」でお酒を作りたい!って情熱が感じられるお酒だったな。

 さて、最後は「中国・四国・九州エリア」です。「中国エリア」は山口県から、やはり好みの「カネナカ」ですね。もう、このお酒との出会いで「熟成酒」の旨味、深さ、広さを知ることができたんです。私にとっての「熟成酒」の「師」と言っても過言ではない銘柄です(笑)!

 そして最後は「四国・九州エリア」なんですが、まだまだ出会う数が少なく「これと思う」一本が思いつかない・・・。次回に持ち越しと言うことにしておきましょう~。

お酒の数だけ肴も食べた! 一〇八種類の「肴」たち。

 とのにかく「肴」には大将に感謝だ。本日の黒板メニューに好みの物がないときは、仕入れた(明日以降のため)素材から色々と出して頂いた! 本当にワガママですみません(笑)。そして、嬉しいのが季節を感じさせてくれる「旬の素材の肴」、全国各地の名産や郷土料理など「一つのカウンターで旅する」テーマに合わしてくれる。

 一例を挙げれば、「滋賀県琵琶湖のもろこ佃煮」「和歌山県の子持ちシャコ」「富山県の白バイ貝うま煮」「京都の二十日大根」「長野県の鞍掛豆煮」「千葉の大粒南京豆」「熊本の辛子蓮根」「大阪泉州の水茄子」「群馬県の下仁田ネギグラタン」などなどキリがない~。この誌面(画面?)を持って深く深く感謝を申し上げます。

 こんな書き方をすれば終わるみたいですね(笑)、いやまだまだこの旅を続けます! ここで一旦、「おれが むらた だ!」の冠を無くし「日本酒紀行・一合一肴」としてリニューアル連載としていきます。「酒のムラタ屋」と言う括りを外し、色々な良き酒場の日本酒と肴を引き続き紹介して行こうと考えてます。どうぞよろしくお願いしますね。とか言っても、「ムラタ屋」が中心になりますがね!!

煩悩が肴だけで一〇八もある。もう一度、食べたいな~! 
この気持ちが煩悩なのですね!?

酒のムラタ屋  大阪府大阪市西成区天下茶屋2-21-13 2F 

営業時間 18時より  定休日 日・月曜日

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