旅する写真家 吉村和敏 2

第三回 スペシャルインタビュー企画〈中編〉

吉村和敏

編集 カナディアンロッキーにはどれくらい滞在した?

吉村 カナディアンロッキー・バンフ(最大の街)に一〇日間くらいいた、人気テレビ番組でも取り上げられ世界を一周していた冒険家の方とレイクルイーズで出会って仲良くなって、自転車だった彼と一緒にユースに泊まったり、僕の車でジャスパー国立公園に行ったりした。そこで彼とは別れ、僕は一旦、バンフに戻って、エドモントンに行ったりカナディアンロッキーをウロウロしていた。
その間はユースと現地で買ったテントでキャンプ生活だった。それが楽しくて楽しくて、結局、大陸横断の旅もユースとキャンプで過ごした。

世界遺産カナディアン・ロッキー バンフ

彼が10日間ほど滞在したバンフの街
 

編集 大陸横断の道中で思い出に残っていることってある?

吉村 カナディアンロッキーから五大湖までの道中(約三二〇〇キロ)は移動だけで疲れてしまって、写真も撮らなかった、サスカチュワン州なんて田園風景ばかりで全てフラットな地形なので興味を失っていて(笑)。

編集 僕なんか飛行機の窓から見た、サスカチュワン州はいってみたいと思ったけどな。

吉村 でも、道中のユースでの出逢いは面白かった、移動は苦しいけど。色んな日本人と出会えたし、その話しは面白かった。一〇年も世界を廻っている日本人とか(笑)、あの頃は(約三五年前)そんなバックパッカーが多かった。
それで五大湖のエリー湖までなんとか移動して、夜中に着いて「お腹が減って減って」ご飯を炊きたいんだけど水が無くて、どうしようもなく湖の水を使った(大爆笑)。エリー湖の水でご飯を炊いたことが五大湖の思い出に残っている。

編集 若い頃の話しだね(笑)、お腹を壊さなくてよかったね。五大湖に着いて、大都市でいえばトロントだね。トロントでは?

吉村 トロントはなんとなく怖かったので(彼の主観です)スルーして、ナイアガラで1泊したのかな(笑)。

編集 でた! また、怖いだ(笑)。

吉村 次の日には大都市モントリオールを飛ばして、ケベックシティに入った(トロントからケベックシティまで約八〇〇キロ)。大都市でもケベックシティは素敵な街で怖くなかったので一泊したよ(笑)。
それから、一気に大西洋を目指しひたすら東に向い、着いたのがニューブランズウィック州のプリンスエドワード島行きのフェリー乗り場(ケベックシティから約九六〇キロ)。その風景を見た時に、凄く感動したんだ。なんか、今まで見てきたカナダとは違うと。その時に最大級のトキメキがあった!

ケベックシティ

素敵な街だと感じた「ケベックシティ」

Du CANADA
2019年に出版されたカナダの総決算版的写真集
『Du CANADA』(日経ナショナル ジオグラフィック社)

 
編集 それは何か分かる気がする、大西洋地域は僕たちが知っている、カナダの山・森・湖のイメージじゃないもんね。

吉村 次の日のフェリーを待っために、オートキャンプ場で一泊したんだ、今でも忘れられないのが、二日前に炊いたご飯が残っていたので、それで「玉子掛けご飯」を食べたらお腹を壊しちゃったこと(笑)。

編集 バカだね・・・(笑)。

吉村 でね、その日が大雨で、その上、お腹が痛いままフェリーの乗船して「プリンスエドワード島」を目指したの。
着いた日は、一日中雨だった。風景なんて何も見えないくらいの。
次の日に目が覚めて外にでたら、快晴で景色を見たらさらにときめいた!!

編集 そのトキメキが処女作に繋がるんだね。

吉村 気に入っちゃって、結局、プリンスエドワード島に旅が終わるまでいたよ。ユースで泊まって。

編集 当時の値段で一泊の料金は?

吉村 八カナダドル(日本円八〇〇円)。安かったんですよ。ユースで泊まっていたら、毎日毎日、違う旅行者と会った。大陸横断をしている日本人とかが。彼らの話しがとっても面白くて、話しているのが楽しかったのが一番の思い出かも。

編集 それって、日本が恋しかったんじゃないの(笑)。

吉村 ない、ない(笑)。お金が無くなるまで居たいと思ったもん。テーマの「旅」というなら、この瞬間は「旅」をしている感じの充実感はあったね。

編集 そして、帰国するんだよね。ここから「写真家・吉村和敏」のスタートだ。帰ってきて、何かあてでもあったの? プロとしての足場造り。

吉村 全然、あてがなかった(笑)! 出版社に電話して、アポが取れたら、猛然と売り込みした。それで運良く、「赤毛のアン」がらみの出版ができた。

編集 帰国して、トントン拍子だね。

吉村 そんなことないよ、帰国してお金がなくてカナダに持っていった、撮影機材を売ったもの。今、考えればもったいないことしたな・・・と思う。でも、あのころはいい時代だった、色んな写真集の奥付けに掲載している、出版社の電話番号に連絡して「写真を見て欲しい」と言えば、そのころはだいたいOKだった。

編集 そのころの編集者は常に新しいテーマを探していたから。

吉村 そうこうしてる間に「吉村ていう奴はプリンスエドワード島で暮らして、そこの写真を沢山持ってる」てことが、業界内に広がっていって集英社から仕事がきたりした。それで、うまく波に乗れた感じかな。

編集 それと、時代はバブルが終わっていたけど、みんな海外に目が向いていたよね。

吉村 本当にそう。
で、JTB西日本の企画者さんから「吉村さん、島以外に撮れるんですか?」て連絡が入って、カナディアンロッキー、アメリカ、カリブ、メキシコにいった。きっと、その企画者さんは旅行業界を変えようとしていたんだと思うんだよね。

編集 その波にも乗れたんだ。何度かプリンスエドワード島いってるよね、その後で?

吉村 違う、違う。 帰国して三ヶ月後にいったよ(笑)。

編集 仕事で?

吉村 一番始めに写真を使ってくれた、出版社の編集長が売り込みをやってくれて、当時「毎日グラフ」でグラビアページを付けたいということで、夏にいって、秋にいって、冬にもいったの(笑)。短期で行ったり来たりが嫌で、また、二四歳の時に長期でいった。

編集 その時は何か「テーマ」があって撮りに?

吉村 その時は移住するためにいった、でも、永住権が取れなかった・・・。

編集 どうして?
 
 

後編に続く(7月7日公開予定)

蔵王橋
蔵王橋
蔵王橋
蔵王橋

あらぎ島から近くの「蔵王橋」。小雨になったと言えど不安定な吊り橋を、何度も「行って来い」の
撮影をしている姿は一度みなさまにお見せしたい(笑)。
 

 
 
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