阿形(あぎょう)像の頭にニホンミツバチが住んでいる!?
ニュースや新聞記事は、この年まん延した「新型コロナウイルス」のことばかりで、ほとほと記事を読むのもイヤになっていた。そんな中、興味深い記事に出くわした、それは「古刹の仁王門に立つ仁王像頭部内にニホンミツバチの巣!」の見出しだ。秋も終わろうとしている、コロナ自粛の緩和時期に訪問してみることにした、運が良ければ紅葉も残っているかもと期待しつつ(笑)。
向かう古刹は奈良県葛城市(二上山の東麓)にある「當麻寺」、ここは1400年という長い歴史を持ち、白鳳・天平様式の大伽藍、白鳳美術を今に伝える「金堂の弥勒仏、梵鐘」などが残っている。なんと言っても見ものは、奈良時代の三重塔が東西一対(国宝)で残っている全国唯一の寺としても知られている。
ニホンミツバチの巣があるのも、奈良県指定有形文化財の仁王門に立つ「阿形像」なのだ。その口からニホンミツバチが出入りするようになり、すでに約30年!! 「阿形像」の頭の中は、1万匹 ともいわれるニホンミツバチの巣で満室状態、夏の暑い日には額から汗ではなくハチミツが「たら〜り」とたれる始末になった。このままでは有形文化財の「阿形像」が朽ち果てていく、でも、減少していると言われるニホンミツバチも大切! と、言うことで「ニホンミツバチのお引越し」と「阿形像の解体修理」が今年の5月にスタートした。よかった、よかった!!
とにかくこの古刹は文化財だらけだ〜
その仁王門をくぐり進めば、正面には国宝の「本堂(曼荼羅堂)」、左手に見えるのはやはり国宝の「東塔」。「東塔」は三重塔で、高さ24.4メートル、細部の様式等から、奈良時代末期の建築と推定されている。「本堂」にお参りをしたあと、左方向に行けば「日本最古の石灯籠(重要文化財)」があり、もう少し進めば「東塔」まで行ける。この塔の造りは、一層目が三間幅で二層目から二間幅になるというめずらしい造りだと言う(通常は二層目も三間幅)。でも、私には?だ(苦笑)。
「東塔」を近くで眺めて、来た道を戻り「奥の院」を目指す。その途中の参道には、時期的にぎりぎりの紅葉が美しく極楽浄土へ誘ってくれるようだ。「奥の院」の本堂(重要文化財)は桃山時代の建造らしいが、なんとなく今風の感じがするのでスルー(笑)、次の重要文化財「鐘楼門」へ向かう。
「鐘楼門」は二階部分に鐘を吊るすようになっているみたいだが・・・、説明文もなにもなかった。後で調べても、江戸初期の1647年(正保4年)の建立と分っただけだった。
陽が出そうで出ない曇天の古刹、門前の名物を食す。いわゆる日待ち。
この日の天候は少し陽が出てきては陰り、青空が見えては雲が覆う、なんとも言えない空模様だ。こんな時は、昼休憩(まぁ、休みの日に来ているだが・笑)でも取って時間を潰すことにする。
昼の2時前、ランチ営業ギリギリに當麻寺門前にある「釜めし・玉や」さんで食事を取ることにした、ここも登録有形文化財に指定されていて約160年の元旅籠。その建物をリノベーションして、釜めし屋を営んでいる。
釜めしのメイン具材はもちろん、お米、お醤油にいたるまで奈良県の食材を使用するなど、地産地消にこだわっています。目の前で炊きあがるまで約30分、お釜を見つめ待つ時間は長いけど、やさしい味わいがあり美味かった。食べるだけじゃなく、建物も見どころが多く楽しめるお店です。
お腹も満たされた、天候は相変らずだ。當麻寺でのメインとも言える風景を見に行くことにする。
後編に続く
當麻寺
釜めし・玉や