第三三話 愛媛県
愛南町 『本当に遠い・・・四国・愛媛愛南へ、里帰り』

ソノひびヨリ

2023年 9月15日

愛南町・南レク馬瀬山公園からの眺望
車で寄り道なし、休憩なしなら、大阪から約6時間456km、愛南町へ。

 「愛南町てどこ?」と思う人が殆どだと思います(苦笑)、そんな方のために少しだけ愛南町の説明をいたします~。四国・愛媛県の一番端下、最南端にあるのが愛南町で人口が約1.8万人、鉄道は通っていません! 最寄り駅は、お隣の高知県の「宿毛駅」(本家から車で約15分)か、同じ愛媛県内では「宇和島駅」が最も近いんです(本家から車で約1時間)。また、空の玄関口「松山空港」からは約2時間半もかかるので、「東京都から最も遠い町」の一つと言われている町なのです。今回はそんな町に所用で里帰り、今住む大阪より遠い道のりを車で向かうことにしました。

 早朝5時大阪を出発、阪神高速から神戸淡路鳴門自動車道に乗り継ぎ、洲本ICを越えパーキングエリア休憩を取る。ここまで約100km・1時間半のドライブ、まだまだ先は長い(笑)。さらに徳島自動車道に乗り継ぎ、徳島県三好の池田パーキングエリア(約150km・2時間20分)。さらに、四国横断自動車道を経由して松山自動車道に入った。やっと愛媛県に突入、内子パーキングエリア(約130km・1時間20分)で休憩です。その後、四国横断自動車道・愛南大洲線で宇和島別当ICまで(約50km・45分)。朝5時に出てすでに正午過ぎなのですが、少し寄り道をしてしまったのです(笑)。

日本の美景「遊子水荷浦の段畑」に寄り道、なのに・・・
遊子水荷浦の段畑(国の重要文化的景観)

 宇和島別当ICを出て県道37号を約30分ほど進めば、寄り道の目的「国の重要文化的景観・遊子水荷浦の段畑」に到着した。だが、見てびっくり! 石垣の段々畑には緑の葉が一枚も無い~! ここは「日本のむら景観百選」に選定されるほど美しい景観なのに、緑もなくおまけに曇天だ・・・。

 この「遊子(ゆす)水荷浦の段畑」は、「耕して天に至る」と形容されている段々畑で、急な山の斜面を利用して石垣を積み上げて造られた(江戸時代)階段状の畑なんです。最も高い所で標高約60m、平均勾配が約40度! その段数は50段! マチュピチュ遺跡のような段畑ですよ、でも残念だった。気を取り直すため、地元の新鮮な野菜・魚を使った食事が売りの段畑のふもとにある「だんだん茶屋」で昼食を取ることにした。

段畑では馬鈴薯(ジャガイモ)の栽培をしている。収穫後なんだろうな、この有様は。
段畑を守ろう会運営のお食事処「だんだん茶屋」。

いただいたのは「鯛さつま定食」900円、とろろ芋に鯛のすり身が入ったヘルシーな郷土料理!?です。なぜ「さつま」なのだろうか。対岸は大分と宮崎なのに・・・。

寄り道は終わり、次の寄り道、目指すは愛南町の「ビックシティー」城辺

 来た道を戻り、国道56号線を南下していく愛南町の中心部「城辺」まで約43km、この辺りから少し渋滞気味になる。約50分ほどで城辺に到着。時間は15時半、叔父が継ぐ本家まではあと少しだ。それをいい事に、ここでも少し寄り道をしますね(笑)。

 町の中心部近くにある、四国八十八ヶ所巡りの第四十番札所「観自在寺」にお参り。ここは807年に弘法大師が51代・平城天皇の勅願により、この地を訪れ開基したと伝わる由緒正しきお寺です。

観自在寺の山門にある額は高野山四百一世座主の筆によるもだそうです。
境内に入れば「八体仏十二支守り本尊」がお出迎え(罰当たり!笑)。

 お寺でお参りを終えて、車で5分ほどで城辺中心部にある「梶原製菓」へ。寄り道の本当の目的はここだったのです。ここの名物「藻塩大福」がとにかく美味しいのです~! 薄めの皮の下には藻塩を使った餡子、そのまた中には生クリームが入っている、味のマショーリカだ~。この藻塩は「カドがなく、まろやかなしょっぱさ」が餡子に合うんですよ。おやつがわりに車の中で2つペロリと頂きました。城辺に来たら是非食べてもらいたいスイーツです!

城辺で80年の歴史がある梶原製菓さん、その名物・藻塩大福。一つ180円なり。

 そうこうしている間にいい時間になってきた、本家に向かうため国道56号線に戻り東へ進む。車で10分、国道56号線から脇道に入り谷へと降ってゆく。ちなみにこの脇道は「ストリートビュー」に表示されない道なのですよ・・・。数度、ぐにゃぐにゃ曲がり谷を降り切ると本家に到着、まるで隠れ里なのです(笑)。車を母屋前の空き地に止め、外に出れば静かな自然が歓迎してくれる、おまけに叔父が養っているペット!?たちも・・・。

母屋前の風景。手前は叔父が趣味でやっている田んぼ、奥の橋から向こうが高知県。
都会で目にしなくなったゴマダラカミキリムシ、白色が映える曼珠沙華。
叔父のペットのモズクガニとスッポン。スッポンは井戸水をかけ流し臭みをとっている? ペットじゃないのかい(笑)。
愛南の町を展望できる絶景スポットへ

 翌日。朝に先祖のお墓参りを終えて、特に行きたい所があるわけでもないが町に繰り出すことにした。まずは昼食を買いがてら「道の駅 みしょうMIC」に行き、町のオバーたちが作っている惣菜を買ってから高台の「南レク馬瀬山公園」へ向かった。ここの道の駅はとにかく地物が新鮮で安いです! お土産はここで買うのが一番ですよ。

赤白のタワーが見える、あそこが「南レク馬瀬山公園」。

 「南レク馬瀬山公園」は町の全貌が見渡せる絶景スポット、公園内に「紫電改(しでんかい)展示館」「こども動物園」「宇和海展望タワー(現在運行を休止)」があるんです。「紫電改展示館」は、城辺町久良湾の海底40mに原型のまま沈んでいるのを地元ダイバーが発見。昭和54年に引き揚げられ展示された、「紫電改」を見れるのは日本でここだけなんです~。(紫電改はゼロ戦に代わる新鋭機として終戦間近に開発され海軍の戦闘機)「紫電改」の撮影は禁止されていたので注意してください(記憶が曖昧ですみません)。

 本日も曇天だけれども展望スポットに腰を下ろして、先ほど道の駅で買った昼食を広げることにしましょう。

展望スポットからの久良湾の眺望
郷土料理の「丸ずし」と「ホタルイカの炊き込みご飯」

 お昼のメニューは郷土料理の「キビナゴの丸寿司」「ホタルイカの炊き込みご飯」と「卵焼き」どれも手作り(安いですよ)! 「丸寿司」は、あまり馴染みがないと思われますので説明をしておきましょう~。簡単に言えば、お寿司のシャリが「おから」になっているんです。シャリ部分の「おから」の味付けは「砂糖・酢・塩・しょうゆ」を混ぜ合わせた「たれ」で炒めています。味の感じは「甘酸っぱい」と言えばいいでしょうか、ウチの味ですが(各家で味は違います)。その「おからシャリ」を酢で締めた魚をのせれば完成。四国のなかでも独特の食文化らしく、愛媛県南部の南予地方だけに伝わる料理です。

ちょっと残念が3連発! 

 気分のいい風景を見ながらゆっくりと食事ができた、「さぁ!」気合い一発、この「南レク馬瀬山公園」で全国で有名になった「あの動物」を見にいこう~。

 そう、それは全国放送「ナニコレ珍百景」でMVP大賞を受賞した「かわいくない パンダ」です。とにか目が死んでますからね(笑)! 一時期はこの「かわいくない パンダ」を見に県内はおろか、全国から人が集まったようです。

目が怖い・・・遊具のパンダ。哺乳類の目じゃなく爬虫類の目です。

 「かわいくない パンダ」を見終えたら、すぐそばに「こども動物園」があります。動物園といっても、今は鳥類だけの寂しい動物園・・・。数年前まではリスザルがいたのですが、今はいなくて残念。ただ、鳥類が放し飼いなので身近で見られて、運が良ければ触れ合うことだってできるんですよ。

 そして、またまた残念なことが・・・この公園の目玉「海抜260メートルから見下ろす景色」を楽しめた「宇和海展望タワー」運行休止! これが唯一のアトラクションだったのに・・・老朽化と観光客減少のためだろうか・・・。回転昇降式展望タワー、展望室が360度回転しながら登っていき宇和海・久良湾のパノラマが楽しめたのに、もう一度乗りたかった。なんとかしてください、愛南町さん。

う~ん・・・「こども動物園」です。
運行休止の「宇和海展望タワー」
過去に乗ったときの写真です。こんな感じだったんです、昭和っぽいですね。

 そろそろと思い「南レク馬瀬山公園」を後にし、車で30分、本家へ帰ってきました。庭で叔父が何やらやっている。何をしているのか覗いてみれば、いるわいるわ叔父のペットの「モズクガニ」! 叔父曰く「こいつらにカボチャを食わすとミソが甘く濃厚になるだ」、「今晩はこれで一杯やろう~」。勢いよく語ったあと、やはり勢いよく、大鍋に生きたカニをほりこんだ。味付けは塩だけで、茹で上がるのを待つだけだ。

 呑み出して頃合いよく、真っ赤に茹で上がったペットの「モズクガニ」。ミソを食べてみれば「甘い~!」確かに「甘い!」。なんとなくだけどカボチャの甘みがしてくる! これ酒の肴には申し分がないぞ~、ただ悲しいことに甲殻アレルギーぽい私は2ハイでやめた・・・。ここでも残念~!!

沢に籠を浸けて飼育している、その籠の一つを持ってきていた。
全部を鍋に入れ真水から地獄茹での始まりだ(笑)。
こんなに綺麗に色づきました。「余ったら持って帰りな」と叔父が言う。

遊子水荷浦の段畑

道の駅 みしょうMICから南レク馬瀬山公園

 

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