第三九話 大坂府千早赤阪村
大阪府唯一無二の村「千早赤阪村」へ 

ソノひびヨリ

2025年 8月13日

千早赤阪消防署前の棚田

大阪市内から約1時間で秘境感あふれる千早赤阪村に行ける!

 今回の旅は大阪府唯一の「村」、南河内郡に属する「千早赤阪村」に小旅行。「なぜ、千早赤阪村」かと言えば、業界の先輩でカメラウーマンのM先輩が古民家を購入したとお聞きしたので、お祝いがてらの表敬訪問なのです。もちろん、ちょっと気になる名所も楽しみに「近鉄・大阪阿倍野橋」から「近鉄長野線」で「富田林」を目指した。

上・「近鉄・大阪阿倍野橋」から「河内長野」行きに乗車
下・乗車時間三〇分ほどで「富田林」に到着

 「千早赤阪村」への最寄駅「富田林」は思ったより栄えていてびっくりした~(笑)と言うのも、四〇年ほど前の学生時代に隣町「河南町」で四年間を過ごしていたからだ。駅舎は新しく美しくなっていたし、駅前ロータリーの向かいには観光案内所「とんだばやし・きらめきファクトリー」が開設されていた! 昔を思えば、この町が観光地になるなんて考えも付かなかった。駅前をぶらぶらしてる間にバスの出発の時間が近づいたので、ロータリーに戻り「南海バス・千早線」乗り場に急ぐ。

上・駅前ロータリーには「楠公」の記念碑がある。これは四〇年と同じだ。
下・駅前には真新しい観光案内所ができていた

 ここで、「千早赤阪村」のことを簡単に説明しときます。歴史的には「太平記」で有名な「楠木正成」生誕の地で「赤坂城の戦い」などの史跡が多くあり、今日も「楠公」ファンが訪れてます。そして、なんと言っても大坂府唯一の「村」、人口は約四三八〇人(現在)で平成二八年に府内初の過疎地域に指定された・・・。

 そのためか、富田林から千早赤阪村までの移動手段(公共交通)のバスが2023年12月をもって金剛バス事業廃止に伴い廃線になってしまったのです! 高齢者も多い村にとって、隣接する富田林市にある病院までの足を失いかけました。ある意味、ライフラインが無くなるところを間一髪「南海バス」と「千早赤阪村コミュニティバス」が運行を決定することで村が救われたのです(よかった!)。そんなバスに揺られ、約二〇分ほどで「千早赤阪村役場前」に到着。

上・今年140周年を迎える南海電鉄グループの「南海バス」
下・車内には私を含め4人の乗客で出発。
千早赤阪村役場の前には、立派な「楠木正成」像が出迎えてくれた。

 既に「千早赤阪村役場前」には、先輩Mさんの姿が・・・、恐縮にも車で迎えにきてくれていました~(汗)。あいさつを済ませて、早速、古民家見学に向かわせていただきました。役場からほどなく車で約5分、古民家近くに到着・・・これなら歩いて来れましたよ(笑)。

 せっかくなので集落の前で車を降りて千早赤阪村を少し散策、意外にも新築の家が多く過疎化しているイメージとは違っていた。ただ、石垣と側溝付近には「マムシ注意」、略して「マム注」の立て札があった、懐かしい(大学の構内にも多く立っていた・笑)。

 現役世代や子供たちも集落で暮らしていたので、写真撮影は控えることにしました。

上・「太平記の村」マンホール
下・先輩Mさんの築約100年の古民家、外壁の漆喰は綺麗に塗り直されて瓦も新しい。
上・土間横の居間
下・居間の襖を開けると、「床の間」がある奥座敷。その横にも2室あり、襖を取っ払えば昔ながらの「田の字作り」になる。
上・古民家に残っていた年代物の家具を利用している、サスティナブルです!
下・新しいものも古民家の雰囲気を壊さず、良いものをコーディネートされていました。

千早赤阪村の「ランドマーク」でランチ

 古民家で話が弾み気が付けば13時が過ぎ、そろそろランチにすることになりました。ただ、ここでは数少ない飲食店に闇雲に行っても閉まっていることが多いそうです・・・。だから、営業中か? 電話で確認して行動を取るようにしていると笑っていました。案の定、5件中4件がランチ終了や「ご飯がない(笑)」など断られてしまい、最後の砦だった「道の駅 ちはやあかさか」に向かうことになる。

 向かう「道の駅 ちはやあかさか」は、「道の駅」なのでもちろん無料駐車場があり、300席のホールと図書館を併設した「くすのきホール」、古代から近代にかけての遺跡出土品や歴史資料、正成公ゆかりの品を展示している「千早赤阪村立郷土資料館(入館料200円)」がある村のランドマーク。

 そして無料駐車場の横には、南北朝時代のヒーロー「楠木正成」の「楠公誕生地」として記念碑があります。でも、ちょっとお墓っぽいので驚いた・・・。

「道の駅 ちはやあかさか」の駐車場より。ここには綺麗なトイレがあります。
史跡をマッピングした案内、千早赤阪村の歴史がわかる「千早赤阪村立郷土資料館」。この日は入館できず・・・。
「楠公誕生地」・・・、何度見てもお墓に見える。「大楠公産湯の井戸」が近くにありました。

 車を止め、目的の「道の駅 ちはやあかさか」へ、一見すると民家にしか見えない・・・。それもそのはず、自称「日本一かわいい道の駅」を謳っている、旗や幟がなければスルーしてしまいそうな小さな小さな道の駅です! 

 一階は千早赤阪村の物産が売られているショップで、二階には同じく村で採れた食材を使用したカレーなど軽食が食べられる「村カフェ」があります。この「村カフェ」は、小さいながらその展望は中々のものです~。目の前には田んぼが広がり奥には大阪平野、振り返れば金剛山系を一望できるのです。

 また、一階ショップの横には、毎朝九時ぐらいから(だいたいみたいです・笑)千早赤阪村産の新年な野菜を農家さんが直接持ってくる販売所があります。この日は遅かったので売り切れが多く残念だった・・・。

ぱっと見は民家、でもこれが日本一かわいい道の駅なのです~
1階ショップの横の地野菜販売所です、お支払いはショップの方でお願いします。
上・窓際の席からは牧歌的な風景が楽しめてのんびりできます。
下・いただいた、名物「村まるごと!棚田カレー」! あまり棚田には見えないけど・・・「もう少し努力」ですね(笑)。

農林水産省・選定「棚田百選」に選ばれた「下赤阪の棚田」

 食事を終えて「道の駅 ちはやあかさか」から、もう一つの目的地に向かうことにした。車で5分程で目的地に到着、いつも歩いて行動するので、暑い日は特に車は楽ちんに思えます(感謝)。

 車を千早赤阪消防署前にある「棚田駐車場」に止め、目的地の「日本の棚田百選」にも選ばれている「下赤阪の棚田」に徒歩で向かいました。

上・「棚田駐車場」にある案内表示。ここにも楠公がおられる~。駐車台数は6台です、観光客が多い時は譲り合いの気持ちで使用しましょうね!
下・「棚田駐車場」の後ろの棚田を登っていく
「棚田駐車場」の後ろの棚田の全景。この棚田も美しい!!

 歩くこと約一〇分程で「下赤阪の棚田」が一望できる史跡「下赤坂城跡」に到着。この「下赤阪の棚田」は面積7.4ヘクタール、二五〇枚の棚田があり、東京ドームに換算すると約一個半、平地が少ないのにうまく作っています。また、平成二六年(二〇一四年)には「美の里づくりコンクール」審査会特別賞にも選ばれているんですって。ちなみに農林水産省が選定した「棚田百選」は、全国一一七市町村・一三四地区が選ばれているみたいですね(百選なのに数が合わないけど・・・笑)。

 少し気になったのは、棚田の中に雑草が伸び荒れているところがポッポッとあった・・・過疎化の問題が棚田からも読み取れます。残念だけどそれも仕方がない、少子化ですものね・・・。せめて観光地として成功して欲しいものです。

上・展望所の「下赤阪の棚田」説明が書かれた案内板
下・この辺りで一番標高の高そうなところに建っている「下赤坂城跡」史跡表記の石碑。ここは「国の史跡」に指定された「楠木七城」の一つで、遺構はほとんど残っていません。
「下赤坂城跡」からの青々とした稲の「下赤阪の棚田」の展望、美しいです。ひとつ、残念だったのが稲作されていない、荒れた棚田もあったことです・・・。

 最後にこれからの「棚田」見頃情報です。訪問したのが八月中旬、九月中はまだ青々とした棚田が見られます。九月下旬~一〇月上旬ごろには黄金色の稲穂が棚田を彩るんでしょう! この時期にも再訪してみたいです。

 大阪府の唯一無二の村「千早赤阪村」、大阪市内より公共交通機関を利用すれば約一時間で到着する絶景スポット。先輩Mさんが古民家を購入した気持ちがわかるような気がしました、都会から離れすぎず自然の中で田舎暮らしを体感できて秘境感がある魅力的な場所だった。

農道を降りて棚田の近くの一枚
棚田の奥には大阪平野が広がり、センター付近にはPL塔が見えます。
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