第三一話 沖縄県
西表島『真冬の南国は曇天続き・・・』 後編  

ソノひびヨリ

2012年 2月20~27日 

どこまでもグレーな西表島に怪しい人物。
4日目・西表島上原 西表再上陸も、曇りのち雨

 朝、「マイトウゼ」母屋で鉛色の空と海を眺めつつ朝食を食べ、その後は「ぼ~」と上原行きの船を待つだけだった。昼が過ぎ、少し荒れ気味の海を保兄の船で上原に戻ってきた。

 保兄と一旦別れ、宿にチェックイン。部屋で一息つくも、なぜか腹が減る。何もしていないのに・・・。いつもならスーパーでお弁当を買って、浜辺で広げるのだけど、この曇天ではそんな気分にもなれない。保兄に車を借りにいき、西表の西の端・白浜集落にある島内老舗「レストラン白浜」に昼食を食べにいった。

 昼食後、この天気では行く所もなく真っ直ぐ宿に戻り、部屋でゴロゴロと読書とした。夕方から始まる、保兄との宴会の「英気を養う」ためだと納得させ、暗く重い空を窓から眺め息を潜めた(苦笑)。

上原から見た鳩間島
島内老舗の「レストラン白浜」のカツ定食。ボリュ~ムが凄すぎるんです!
天然記念物のカンムリワシには曇天が似合わない。なぜか寒そうにも見える。
暖簾を仕舞い、夜の宴会の準備をしだしてくれる「デンサー食堂」
この豪華なメニュー~~、ありがとうネーネー!
「信州ブランドのハム、豚肉とほうれん草・卵絡め、ゴーヤチャンプル」に
「ミジュン唐揚げ、カマイ(琉球イノシシ)チャンプル、コブシメ(コウイカ)のお造り」!!
呑むは、食べるはの大宴会、やはり朝方まで続いたのでした。
5日目・西表島上原 雨のち曇り・・・の中、行軍は続く。

 朝、宿の屋上から上原を見渡せば、雨に煙る山々が見える。南国とは思えない水墨画的な色合い・・・、本日もすることもなく午前中を部屋で過ごす。昼過ぎには、さすがに部屋にいるのも飽きてきて「デンサーターミナル」に散歩するも売店は閉まっていて待合客も居ない。「う~ん、流石に閑散期だ」と変な関心をするも、気持ちを切り替えてターミナル前の「デンサー食堂」で昼食を食べることにした(いつものことだけど・笑)。

 お昼時間は島民の方たちで混み合うが、少し時間を外せばゆっくりと食事が取れる「デンサー食堂」です。オーダーしたのは、「みそ汁定食(現在は無くなりました・涙)」。深酒の次の日には「これ!」という感じの味付け、野菜がいっぱいで島豆腐がゴロリ、半熟卵がプカリと浮いて、隠し味に生姜の風味~! 味噌汁が完全におかずになる「のんべ~のための定食」、また食べたいですね(復活をお願いします)!!  

 お腹を満たしつつテレビニュースをボ~ッと見ていると、携帯が震えた、保兄からの電話だ。要件は「今日、3時に店の前に集合。夜の肴を仕入れに行くよ」と話し通話は途切れた・・・。

雨に煙る上原集落、目の前が「デンサー食堂」です。
今はメニューから無くなった「みそ汁定食」

 午後3時・曇天、店の前で待つていると保兄が現れた。その姿は迷彩服に身を固め、やはり迷彩のキャップを被り、背にはリュック、右手には何やら怪しげな鉄の棒、そして足元には妙にアンバランスな白い長靴・・・。どう見ても東南アジアか中南米のゲリラに見える(ごめんなさい・笑)。その服装装備を見て、これは山か海に行くのだと察知し、自分の足元を見れば無防備な島ぞうり・・・。慌てて履き替えに行こうとしたら、「磯だから大丈夫さ~」と、これまたなかば強引に車に乗らされた。

 向かうは車で10分、デンサー食堂から海中道路を渡り、少し走ったところに車を停めた。防風林で海も見えない場所で・・・。車から降りると、間髪入れず防風林の茂みの中へ消えてゆく保兄。こちらはハブが怖いけど、置いていかれるのも嫌だから意を決して茂みを掻き分け後を追うのだ。防風林を抜けると曇天だが気持ちいい潮の香り、広々とした遠浅の磯が沖まで広がっていた。

 間髪入れず、鋭い目つきで水面を睨み付け、怪しい鉄棒を構え沖合に進む、二人だけのポンコツゲリラ部隊だ。曇天で透明度がやたら低く、海中の動くものさえ見つけられない有様。仕方なく、小さなタカセガイとアオサに狙いを定め集めることにした(苦笑)。

 我々の他に誰もいない磯に、鋭く海面を叩く炸裂音が数度轟いた~! さらに激しく、水飛沫をあげ! 遠く離れた保兄が叫ぶ!「大物が獲れたさ~!」。急ぎそばに寄り見てみると、なんと「ウツボ」・・・。黙って見ていると私に「で~じま~さん~(すごく美味しい)」と一言、海のギャング対ゲリラの死闘を終え、満足げに岸へと帰っていく保兄をただ見つめるだけだった。

 当然、この夜のメインディッシュは戦いに負けたウツボになった。ウツボはコラーゲンたっぷり、食感がよく、酒の肴に丁度よかった、美味いぞウツボ!!

遠浅の磯を沖に向かい、何かを探すように進むゲリラの隊長さん。
死闘の結果、戦果のウツボを上げ帰還する我々だ。
この日の宴会メニュー、「ウツボの味噌煮」「ウツボ唐揚げ、タカセガイ塩茹で、とりタタキ」
6日目・西表島上原 旅の終盤やはり最後まで・・・、曇りのち雨。

 西表に入って6日続いての天候不良、さすがに何もしないことに罪悪感が湧いてくる。せめて、観光ポイントにでもパトロールに行ってみることにした。最初に向かったのは、昨日ウツボをゲットした磯の手前の「ピナイサーラの滝」へ。雨が多いので滝の水量も多く、滝自体はよく見えるけど・・・次に向かう。海中道路「イリオモテヤマネコの銅像」より車で約15分、住吉集落にある「星砂の浜」へ到着。この浜は名前の通り「星砂」でできている浜で、天気の良い日には観光客で賑わっているのだけれど、浜に降りる頃には雨が降り出した・・・人は誰もいない。磯を歩けば転ぶし、雨でずぶ濡れになるし、この時点で心が折れ宿に戻ることにした。

暗くグレーな「ピナイサーラの滝」に寂しげな「星砂の浜」

 へこみがちに宿のベットにゴロリ、今晩は西表島最後の晩餐が待っている、「よくぞ我が肝臓よ、ここまで持ち堪えた」と褒め称え、しばしの仮眠を取ることにした。数時間後、携帯のベルで起こされた、通話ボタンを押すと「何してる? 用意はできてる、早く来い!」「ガチャ!」。寝ぼけた頭で時計を見れば、まだ5時過ぎだ・・・「こんなに早くからスタートするのか」と思ったが、保兄宅に向かった。

 宴会場になる離れに着くと、テーブルの上には西表で採れる「山菜の天ぷら」がど~んと用意されている。山菜は全部、保兄の奥さんが摘んできて調理していただいたもの。毎度、毎度、ご迷惑をおかけしています、みちよネーネーありがとうございます。

 その山菜の種類は「オオタニワタリ、ホウビカンジュ(シダの仲間)、島タケノコ」、普通では滅多に食べられない食材です。毎日の宴会で疲れた胃腸を癒してくれる~~。そんなこんなでこの夜も大いに呑んで、西表最後の夜は終わって行くのでした。この旅は「ひたすら、食べ呑む」だけの、体験したことがない旅になった。それと、島民の方たちの温かいもてなしにどっぷり溺れ、甘えさせてもらった。曇天なんて関係なく、心に残る南の島でした「感謝、感謝」。

天ぷらのメニューは「オオタニワタリ、ホウビカンジュ(シダの仲間)、島タケノコ」と保兄が炊いてくれた「芋飯」。
アク抜きが大変な「アダン」の茎煮付け、デザートのポーポー!
お腹いっぱいです!

 どうですか? 曇天の2月の南の島は(笑)。観光だけじゃなく、島の人たちと触れ合う時間がたくさんあります。そうすることで、もっと、西表の魅力がわかるはずです。ヘビーユーザーにはおすすめの季節です、「西表は好きだけど、ほぼ見尽くした」と感じてる人ほど訪れて欲しい季節です。一度、チャレンジしてください。だけど、本当に天気悪いですよ(笑)。

石垣に向かう日に少しだけ天気が回復した。この度の終わりに。
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