第三五話 香川県観音寺市 <後編>
『奇跡を呼び寄せた、天空の鳥居・高屋神社に登山?』 

ソノひびヨリ

2024年 12月21日~22日 

天空の鳥居・高屋神社

本日の天気は曇り。予報も一日中「曇り」・・・。

 朝、7時前に起床。ホテルの窓から空を伺うと、予報通りの「曇り」だ。想定内の結果だが、少し期待をしていた(笑)。もう一度、ベットに転がり、リアルタイム(詳細な)の天気予報をチェックする。昨日の予報では、午前9時から11時に唯一の「晴れ」マークが付いていた。今、チェックした天気予報では「晴れ」は10時から11時までの2時間に減っていた・・・。

 ホテルから「高屋神社・下宮」まで車で10分、山頂まで徒歩・約30分(本番は本気で歩くので昨日より時間短縮)。この空模様、急いでも如何にもならない、ホテルを8時半前にチェックアウトすることにした。

 8時半出発には、もう一つの訳がある(笑)。それはホテルの並びに「和菓子・洋菓子 美栄堂」というお店がある。ここは、創業80年の和洋菓子屋さんで、観音寺市民が愛するソウルフード「くるりんパイ」を販売しているのです。

その情報を知った限り、甘党の私は、どうしても食べたくなった~。開店時間を調べれば、なんと朝8時30分開店! これは神の思し召しと思い、時間どおり開店した「美栄堂」さんに飛び込み、「くるりんパイ」200円を購入。これで、朝食ゲット! お宮で食べることにして車を走らせた。

 渋滞もなく「高屋神社・下宮」駐車場に8時40分過ぎに到着した。

曇天の下に佇む「ハイパーイン観音寺駅前」、その並びには魅惑の「くるりんパイ」を販売している「和菓子・洋菓子 美栄堂」さん。
本日も「高屋神社・下宮」の本殿でご挨拶。社務所の横で朝食の「くるりんパイ」をいただく。
サクサクのパイにバニラビーンズが効いたカスタードクリーム~! 登山前に高カロリーでエネルギーを補充でしょ~。

落ち葉道、ガレ道、滑る道、一足間違えれば、あの世へ道行。

 ここで、もう一度「天空の鳥居・高屋神社」のおさらいを致しましょう。標高404mの「稲積山」の頂上(付近)に鎮座する「高屋神社・本宮」、登山口(参道口)から本宮まで約1400m。登山口の標高が74m、頂上との標高差が330m。すなわち、この登山道は10mで「2.3m」標高が上がる「23%」、100m進めば「23m」、マンションで言うなら「7・8階」の高さに当たる。一般的には「10%」以上が急勾配と言われているので、まぁまぁの勾配なのだ(笑)。

 さて、登ることにしましょう。スタート時間・8時55分。

登山口(参道口)前より、標高404mの「稲積山」を眺める。空には曇、うまく晴れてくれと祈り、スタートした。<標高74m/登頂距離0m>

 駐車場から約300mほど進むと「注連石」がある、ここを潜れば聖域となる参道の始まりだ。スタートは、真っ直ぐな舗装道を登る、この坂の途中に「一二丁」の石標が立っている。斜度がキツいが道幅があるので歩きやすく、歩き始めには有難い。

 だが、「十一丁」あたりで道幅が減少、落ち葉が積もった道になる。ここは注意、舗装道の上に積もった落ち葉で足が取られやすい。晩秋から冬にかけての登山は足元がしっかりした靴が必要です。「十一丁」で左手に折れ急勾配をまた登る、この途中に「一〇丁」を発見。勾配を登り切れば、踊り場のような空間に「高屋神社・中宮」が鎮座されている。「十一丁」からここまでが約65m、ただひたすら登りだ。

上・スタート地点の上り坂、この途中に「一二丁」の石標あり
下・現在は鳥居とお賽銭箱のみの「高屋神社・中宮」<標高182m/登頂距離400m>

 「高屋神社・中宮」を過ぎた辺りから角度が一段とキツくなり、つづら折りのトレイルが始まった・・・。頂上まで「1000m」の表示に励まされているのか? ガックリするかは、本人次第の表示だ(笑)、このあたりが「九丁」あたり。つづら折りの道を左、右、左、右、と登り、真っ直ぐ伸びる長めの道(当然、登りだが)を進めば「八丁」に到着。この「八丁」辺りから道の表情が一転する、道幅は狭く山側から岩盤が迫り出していて、足元がより不安定になってくる。

上・まだまだ、登りやすい道。昨夜に雨が降ったので落ち葉が滑る、そこだけを注意して歩く。
下・「八丁」付近での道。道幅は狭く地面が斜めっている、左側は崖だ・・・。

 「八丁」から「七丁」は同じ様な道が続く、急勾配の坂の途中で休憩をとっていると登山者が登ってきた。歩き方を見ていると、すでに足を痛めている様子だ。声をかけ「大丈夫ですか」と聞けば、落ち葉で足を滑らせたみたいだ。服装・装備を見れば登山経験者だと分かり、一安心、自己管理ができているので無理せず歩くはず(この方、登頂できました)。「ペースを落として歩けば、大丈夫です」と返事を聞き、安心して先を目指した。

 そんな遭遇から少し前に進ば、木立の隙間から標高153mの「有明富士」とも呼ばれている「江甫草山(つくもやま)」が見えてきた。この後「七丁」の石標を発見、道の表情は「岩盤」から「ガレ」のつづら折りに変わってきた。

この角度を見て欲しい! 杖を2本使って登る足を少し痛めた登山者、ゆっくり登ってきた。
上・「江甫草山」が目線より少し下に見えてきた。
下・「七丁」の石標に到着、少しずつ「ガレ」が現れ出した。踏み外し、蹴躓きに注意!

 「ガレ」のつづら折りが続く道、少し悪戦苦闘したがようやく「六丁」に到着。「江甫草山」が先ほどより下に見えてきた、着実に標高が上がっている。「六丁」の石標から水平な道が伸びている、進んでいくと「鉄の橋」が掛かっている。まだ新しい橋だ、きっと、土砂崩れがあって道が寸断されたのを補修したのだろう。心細い手すりだなと思いつつ、慎重に橋を渡る。

 この辺りは、本当に歩きづらい!「ガレの道」と言うより、「ガレの階段」・・・、一歩一歩と着実に慎重に歩くが蹴躓く始末だ。この道中に「五丁」の石標があったはずだが・・・見逃してしまった。それぐらい、このポイントは難所だった(笑)。

 そんな道に悩ませられたが、ようやく「ガレ」が終わり、その褒美に見晴らしの良い展望スポットに出た。風景も美しいのだが、何より空が明るくなりつつあるのが嬉しい!! しばらく歩くと「残り500m」表示が出てきた、3分の2を登ってきた。

上・「六丁」、「江甫草山」が遥か下に見える(笑)! <標高260m/登頂距離600m>
下・「鉄の橋」だ、なんだかマチュピチュのトレイルみたいだな。
上・この「ガレ」の自然階段に相当悩まされる・・・ 
下・ちょっとした、展望スポット。この先は崖です、足は疲れてきています、要注意しましょう。
「ガレ道」が終わり、500m地点から様相が変わる登山道。

「天空の鳥居」前、「ラスボス」が現れる! ピンチ~、ピンチだ~。

 「五丁」を過ぎたところから、道幅が広い土の道に変わった。歩きやすくなると思ったが、道の真ん中に轍ができている。道が急なため大雨が降れば、川のように流れ水が下る、その時に出来た轍だ・・・。ここも足を捻らないように気を付け進む、なんとも歩きづらい道が次々と続くものだ。ブツクサ言いながらも「四丁」「三丁」と通過していく。

 ここからは、尾根伝いの様な感じの道になり、斜度も緩やかな心優しい登りになってくる。大きな岩が登山道に現れ出すと「二丁」辺りだ。この辺りからも美しい瀬戸内の風景が眺望できる。美しい風景を見れば、最後のひと頑張りもできるはず! 

「四丁・三丁」、緩やかな登りなのだが轍があり、やはり足元に注意をはらう。
「二丁」には大きな岩が登山道に顔を出す、瀬戸内の美景も顔を出してくれる。雲はあるが少し青空が顔を出してきた。

 瀬戸内の美景を眺め、足取りも軽く50mほど進むと、緩やかなカーブが現れる。曲がり終えると、絶望的な長い~自然石の階段が遥か上まで続いている!! ゲームで言う「ラスボス」てところだろうか。クライマックスを迎えるには、この階段を登り切ればならない! この先には「天空の鳥居・高屋神社」が待っている、270段もある石段モンスターを最後の力を振り絞りやっつけるしかなのだ。聖者の杖を片手に持ち気合一番、一段を踏み出すのです!

カーブを描く石段、この一からはまだ、頂上の「天空の鳥居」は見えない。
<標高354m/登頂距離1100m>

 石段の中腹(踊り場)まで登ると「ゆるぎの岩」と呼ばれている岩がある、ここから先が石段モンスターの本性が表れる~。真っ直ぐ鳥居まで伸びた石段は、先ほどと比べれば斜度がキツく(一段の高さが高くなっている)なっている。万が一にも蹴躓いたら、真っ逆さまに転がり落ちてしまう。最後の最後、慎重に慎重を重ね登る。

 息を切らし、途中途中、休憩を入れてなんとか鳥居前まで到着した。ここで漸く後を振り返ってみると鳥肌が立つ勾配、本当にここから落ちれば怪我では済まないのがよくわかる。冬だと言うのに、たっぷりかいた汗が一挙に冷や汗に変わる。ただ、そこからの眺望は、苦痛と恐怖を乗り越えた者だけに与えられた風景。昨日訪れた「銭形砂絵」や「明石浜」などが一望できる素晴らしさだ! 

 最後の一段を踏み越え「天空の鳥居」を潜って、神社本殿の上空を見上げれば、徐々に青空が広がり出している! 何はともあれ、本殿で感謝の気持ちを込め、昨日と同じ500円のお賽銭を入れた。

上・中腹あたりの「ゆるぎの岩」。指で押しても動くが落ちない岩と言われている石だそうです。
下・この景色、いかがでしょうか?(笑)
上・「天空の鳥居」頭上に青空が!!
下・本殿に感謝を伝える事は大切な事ですよ。

二度の参道登山、クライマックスは!?

 到着時間9時28分、33分の登山時間。昨日より若干速く登頂することができた。息つく暇もなく、上空に晴れホールが広がりだしてきた。きっと、その時間は1時間もないはず、昨日確認済みのポイントに慌ただしく三脚を立てシャッターを切った。

 撮影中にふっと昔のことを思い出した、仕事で幾つかのトレイルを登り撮影したことを。有名どころでは、「カナディアンロッキー」の「リトルビーハイブ・トレイル(高低差358m)」、「ニュージーランド・マウントクック村」の「レッドリターンズ・トラック(高低差300m)」などをよく似た高低差の山を。海外の山や風景はどこも素敵で、何よりそのスケールに度肝を抜かれるのだが、なにやらいつも物足りない(笑)。

 大自然の風景は素晴らしいのだけれど、それだけなのだ。そこに根付いた人間臭が感じない、無味無臭の風景に見える。だが、多くの日本の風景は人と共に育っことで人間臭を感じさせてくれる。即ち、風景にエッセンスが加わり深さを感じることができる。そんな要素がこの場所「高屋神社」にはある。幾100年もの間、人々に崇められて鎮座する「神」がおられるのからだ。ユーチューバーが多く集まるのもよく分かった気がする。

 何より、悪天候予報のため一か八かの撮影だったが、2日間とも奇跡が起きた。いや、奇跡ではなく「神」がお与えになった吉祥だと感じたい。オカルトめいた話に聞こえるかもしれないが(笑)、そんな風に感じられる、日本の風土・風習がこよなく愛おしく感じる旅になった。

本殿を背にして真正面からの「天空の鳥居」。晴れ間が広がっている。
吾妻屋がある、下手側より撮影。
上手側よりのアングル。登山者が一礼する、その姿が清く見えた。

 撮影を終え、再度、本殿に向かいお礼を伝えたころ。「あら、不思議」にわかに雲が溜まり出してきた。それを合図に、山頂滞在・約1時間、10時半に下山を始めた。

 駐車場には20分強にて到着、雨が降りそうなので急ピッチで駆け降りてきた(良い子は真似しちゃダメですから・笑)。駐車場から車を走らせ最後のカット、全景ポイントへ向う。車を降り空を見上げると、今にも降り出しそうな雲に神社全域が包まれている。予報通り、「日本の天気予報は当たるんだな」と感心したのだった。まぁ、予定はないので雨が降ろうが槍が降ろうとお構いなし(笑)!

 この後は、丸亀でうどんを食べて「徳島自動車道」で徳島市内に戻り、18時55分発の「南海フェリー」に乗船するだけだ。そろそろ、お腹が減ってきた丸亀に向かうとする。

 最後に参道を登らずに「天空の鳥居」にも行けますよ! ご利益はないかもしれませんが(笑)。あっ、それと良い年賀状が作れました、もう一度「高屋神社の神様」に感謝いたします。

「高屋神社」全域を見渡せる、向かって右の双子のようなピークがある山が「稲積山」、右端のピークに「天空の鳥居」がある。向かって左手の小山が「江甫草山」。
おまけの丸亀うどん。「石川うどん」さんで「かけ」と「ゲソ天」をいただく。
18時、「南海フェリー・徳島港」に到着。乗船後に徳島市内のスーパーで買った惣菜で「居酒屋新幹線」ではなく「居酒屋客船」を開店する。
本日のオススメ「地元豆腐の白和え」「地鶏のハラミ炭火焼き」「しめ鯖の巻き寿司」「地元産のチューハイ」全て徳島産。

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