ソノひびヨリ 第四話 『世界遺産高野山』〈前編〉

和歌山県 桜見納め『世界遺産高野山』
 

結界のシンボル「中門」

  すでに四月の下旬、今年の桜は終わった・・・。なんとか見納めはできないものかと思案六法。う~ん、脳みそ搔き回し出てきた答えが「そうだ! 高地だ、山に行けば咲いている」などと、ひねり出した割には中学生にも出せる答えだ(いやはや)。どこにするか、移動時間は少ない方が良い、いろいろ考え消去法で「聖地・世界遺産高野山」に行くことにする!

 本日もひより良く快晴だ、山中の天気は変わりやすいのが気にかかるが、弘法大師さまと同行二人(どうぎょうににん)ならなんとかなるさ。そんなことを思いながら、南海高野線『こうや号』で極楽橋駅まで山岳鉄道気分で車窓を楽しむ。

 余談だが二〇一七年にはこの鉄道とスイス 三大観光特急の一つ「ゴールデンパスライン」を運行するモントルー・オーベルラン・ベルノワ鉄道とが姉妹鉄道協定を結んでいる。そんなわけでなかなかの勾配をゆるりゆるりと登り、時おり車窓から見える杉木立が景色は見ものです、一度ご乗車あれ。

 極楽橋駅からケーブルカーに乗り換えて高野山駅を目指す、全線〇.八キロ、高低差三二八メートルで東京タワーとほぼ同じ高さを約五分で一気に昇る、ちょっとしたアトラクションだ。高野山駅からバスで聖地の入り口大門前に向かう、少し曇が湧いてきた、これも聖地の演出だなとポジティブシンキング。

 中門前でバスを下車、中門を眺めながら金剛峰寺方面に歩き出した、次に目に飛び込んでくるのは「根本大塔」だ、朱塗りの美しさは当然だが、初重の方形造り屋根の反り方がまた美しい。整然と並んだ屋根の化粧垂木(けしょうだるき)は圧巻。仏教建築に見とれているが、いまだ桜にはお目見え出来ずに・・・。金剛峰寺の門前まで来たその時、観光客が座るベンチの上には満開の桜だ!

 桜が咲いていた。咲いていたことに喜び安堵し、少しの間見とれていて我に返った。廻りを見渡すと意外や観光客が多く、それだけではなくお遍路の返礼参りの人達も大勢いる、日本人は信心深いと感心させられる。そんなことを考え、何も信仰のないバカは金剛峰寺を拝観するのだった。
 

南海高野山 ケーブル 極楽橋駅
南海高野山 ケーブル 極楽橋駅
根本大塔
根本大塔 方形造りの屋根
金剛峯寺前の 桜の下で バスを待つ 参拝客

 
To Be Continued  後編へ続く…
近日公開

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