ソノひびヨリ 第十一話〈前編〉
熊野古道・中辺路は修行の道だった
和歌山県 世界遺産熊野古道・中辺路
「滝尻王子〜高原霧の里泊〜継桜王子」

熊野古道
近畿圏では、この朝霧はなかなか見れない、霧の下には高原の集落がある。
この日、一泊した「霧の郷たかはら」さんのデッキより
世界遺産熊野古道・中辺路
※ 距離、時間、高低は目安です。

 
 

JR紀伊田辺駅(バス・約40分)〜滝尻王子 〜 不寝王子(距離 約500m・高低差 約120m・歩行時間 約20分)

 前々から一度、行ってみたかった「世界遺産 熊野古道・中辺路」を秋の終わりに歩いてみた。熊野古道には色んなルートがある。高野山から熊野本宮大社まで繋がる「小辺路」、紀伊半島(紀南)の海岸線を周る「大辺路」、紀伊辺市から、熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社に繋がる「中辺路」だ。色々リサーチした結果、最もポピュラーで中級コースと書かれている「中辺路・滝尻王子」から歩くことにした。
 今回は同行者として「ヒザ男」こと、長年の友人である「たのしみワークス」主催者・宮脇茂雄氏が参加している。なぜ? 彼が「ヒザ男」かと言えば、長距離を歩いていると急に「カックン」となる、その動きを見ていると、何処かに「ヒザ」を落したように見える(苦笑)。その歩き方を形容するなら「ゾンビ」が歩いているみたいなのだ。そんな彼との「熊野古道」踏破への実録なのです。
 「中辺路・滝尻王子〜熊野本宮大社」全長約39km、標準所用時間が約18時間10分、ガイドブックには二泊三日の行程とされている。今回はあまり時間が無く、一泊二日に抑えたいので「滝尻王子〜高原霧の里泊〜継桜王子」まで約17kmを完歩することにした。
 秋晴れの中、少し遅目の出発となった。JR紀伊田辺駅を昼前に着き、龍神バスで約40分ゆられ「滝尻王子バス停」に着いた。

熊野古道館
バス停から見た「熊野古道館」

 バスを降りれば、目の前に富田川を挟みビジターセンターの「熊野古道館」がある、ここで各王子のポイントに設置されているスタンプを押すための「朱印帳」が売られている(当時100円)、必要な方にはおススメです。それと、大切なことが二つ、自然災害での通行止めによる「迂回路情報」をチェックすること、そしてここから先「高原熊野神社」約3,6km(歩行時間約1時間50分)トイレがないので、必ず絞り出しておくことだ(笑)。

滝尻王子
最初のポイント「滝尻王子」。
熊野古道 スタンプ
そして、これが記念のスタンプ。

 意気揚々と13時ぴったりに出発だ! 二つ目のポイントは約500mほど先の「不寝王子」、途中には「胎内くぐり」の岩穴や「乳岩」があり楽しみながら歩くつもりが・・・・。ほぼ、直登に近い形で標高を約120m昇らなければならない、初っ端から出鼻を挫く試練がある。

不寝王子
中壮年深酒睡眠運動不足にはこたえる昇りです、歩く前にはストレッチを忘れずに。

 
 

不寝王子〜飯盛山展望台(距離 約1,1km・高低差 約140m・歩行時間 約35分)

 「不寝王子」でスタンプを押し、暫し息を整えるため休憩をとる。休憩が早すぎるのだが、ここからも急な上り坂が続く、次の目的地は1,1km先の「飯盛山展望台」だ。

不寝王子
足場の悪い昇りが続く中、こんな古道らしい平坦な道もある。後ろから来た若者に、抜かされて行く中年たち・・・。

 昇りが続くと思えば、剣ノ山経塚跡? 辺りをを越えたら、一度、下りまた上り坂(チクショ〜)・・・。這々の体で展望台に向かう分かれ道に差し掛かり、古道から少し外れれば標高340m「飯盛山展望台」、苦難の連続(苦笑)にこの風景に救われた。寄り道が辛くても、是非、行って欲しいおススメスポットです。

飯盛山展望台案内図
展望台への案内板、右側に行けば古道だ。
飯盛山展望台
紀伊の山々に深呼吸でまた一休み・・・。

 
 

飯盛山展望台〜高原熊野神社(距離 約2,1km・高低差 約20m・歩行時間 約55分)

 次のスタンプポイントは、ど〜んと2,1km先の「高原熊野神社」だ。展望台の寄り道から、古道に戻れば直に急な階段の下り坂(ここは足を痛めないように注意です)、そして車道を横切り古道は続きます。そこから少し昇れば、地蔵尊が三体並ぶ「針地蔵尊」、手を合わし次ぎにくる恐怖の昇りの木の階段に挑む! 三時前だが、秋の日の傾きは早く西日が射す古道をひたすら昇ればNHKテレビ塔、ここを越えたあたりから道はなだらかになった。

飯盛山展望台
下りてきた坂を振り返り一枚。やっぱり急です。
針地蔵尊
西日が射し、輝く「針地蔵尊」
NHKテレビ塔
そして、NHKテレビ塔までの昇り階段・・・

 少し歩くと「夫婦地蔵」があり、高原集落に入って行く。左側には紀伊山地のパノラマが約300m続き、本日の最終ポイントに到着だ。なんとか、3時半(所要時間2時間半)に「高原熊野神社」着き、参拝して本日無事の感謝を伝え、スタンプを押して、今夜一泊する宿に向かった。

夫婦地蔵
高原集落の入口あたりに奉られている「夫婦地蔵」。前掛けがキュートなのだ。
紀伊山地
美しい紀伊山地のパノラマが疲れを癒してくれる。
高原熊野神社
本日の最終ポイント「高原熊野神社」

 神社から約七分、本日お世話になる「霧の郷たかはら」に到着。この宿の特徴は、全室谷側にバルコニーがあり「霧の里」の由来になる朝霧が各客室からも見れるのだ。
 ただ、朝霧は当然、自然現象で見られるかどうかは、それぞれの行ない次第だろう(笑)。この日はゆっくり風呂につかり、旨い山の幸を肴に日本酒をしこたま呑み、次の日の長い行程のため早めに就寝?。
<11月17日更新の後編に続く>

霧の郷たかはら
霧の郷たかはら
「霧の郷たかはら」さん
霧の里
霧の里
霧の里
神秘的なものも感じさせる「霧の里」の夜明け。少しづつ霧が晴れ、眼下の町が見えてくる。

 
 
JR紀伊田辺駅

滝尻王子〜高原熊野神社 霧の郷たかはら

 
 
霧の郷たかはら

霧の郷たかはら | 世界遺産・熊野古道巡りの宿
世界遺産・熊野古道巡りの宿、霧の郷たかはらのオフィシャルWEBサイトです。
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