旅を始める前に・リレーエッセイ第五回
初夢には、未来のネコ型ロボットが持っている「どこにでも瞬時に行けるドア」の夢が見たかった(笑)。もちろん、そんな夢は都合良く見れなかったけど。
なぜ、そんな夢を見たいかと言えば、去年一年間は新型コロナまん延防止のため自由に旅ができず、今また第六波が広まりつつあるから。その「ドア」さえあれば、交通機関にも乗らず、人にも接触せずに目的地に行く事ができる。・・・ちょっとまてよ、それって「旅」なのかな? まぁ、いいか(笑)。
そんな中で、旅行のあり方が、少し変わってきて進化していると感じます。パッケージ旅行を企画している旅行代理店は『新型コロナ・ワクチン二回接種限定ツアー』、長距離を結ぶバス会社は『個室シート(全十一席)』新型バスを導入するなどして感染予防を意識した企画・対策を消費者に提案しています。
そして、これって面白いなと思ったのが格安航行会社が企画販売する、一回五千円の『エアチケット・ガチャポン』! 行き先が分からないチケットがカプセルに入っている。レバーを廻すと旅先が決まる(笑)、自分の興味がない場所なのに、行けば以外や以外、魅了される可能性だってあるはず。ゲーム性にとんだ新しい旅の形ですよね。
新しい旅の形と言えば、「旅」と「仕事」を合体させた「ワーケション」が静かに浸透しています。日常の職場や自宅を離れて、テレワーク環境の整った旅先で、リフレッシュしながら仕事をする、新しい働き方・新しい旅のスタイルです。そこからの派生で、鉄道業界が新たな試み『トレインワーケーション』を商品として販売しています、低迷する鉄道業界の活路、観光列車(お座敷列車など)を利用した新たな挑戦です!
また、自治体の観光局なども独自の観光企画を立ち上げ頑張っています。石川県金沢市は元旦から(予定)、市独自の旅行割「五感にごちそう金沢宿泊キャンペーン」の対象エリアを近隣から、全国に広げ観光業種の活性化に取り組むようです。
こうして見ると、少しずつだけど国内の旅行(交通・宿泊・旅行代理業)は動き出しています。ただ、オミクロン株の感染者が、全国にじわじわと広がってきているのが怖いですね。観光活性化のためにも、個人個人が公衆衛生を守り予防策をして旅に出て欲しいです。
では、「海外旅行はどうなのか?」と言えば、まだ先が見えないのが事実ですよ。受け入れ側の、それぞれの国の状況に左右されるものだから・・・。なかなか新たな企画や施策が、私たち旅人には提案出来ない状況です。
海外旅行をメインにしている会社などは、『バーチャル海外ツアー』などアバターで参加するツアーを募集しているけど、やはり旅行はリアルじゃないと難しいですよね(苦笑)。
航空会社の国際便は、間引き運行また休便中、空港の国際線出発ゲート付近の店舗はシャッターが閉まったまま…、海外パッケージツアーの最前線で働く添乗員(派遣契約)の多くは仕事が無く失業状態です。私の知っている方などは、運良く派遣先が見つかり、空港近くのホテルで、国内入国隔離者のアテンダントの仕事につきました。感染予防対策はしていると思いますが、危険な職場で働くことに頭がさがります。
いつになれば、海外自由渡航ができるんだろうか?海外の事を書けば暗くなる事ばかりです、今年の秋には明るい話ができると思います!
頑張りましょう、観光に携わる全ての方々、そして旅人同志! 一歩一歩だけど前に進みましょう。
エールをおくります。
写真 赤木賢二
文 藤川貴史