第四〇話 EXPO 2025 大阪・関西万国博覧会
並ばない万博を体現する旅

ソノひびヨリ

2025年 9月6日

素晴らしすぎる!「大屋根リング」

並ばないで万博を楽しむ方法?! それは簡単!

 9月上旬にやっと「EXPO 2025  大阪・関西万国博覧会」に行けることになった~! この万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」、そして新しい試みで「並ばない万博」を標榜しています。そう! 今回の旅のテーマは「決して並ばず万博を楽しむ」を実現する旅なのです。

 会場に向かう大阪メトロ中央線は、夕方入場(夜間券)なのにすし詰め状態・・・。だけど車内はお祭りムード、赤と青でコーディネートした人やミャクミャクのマスコットキーホルダーをつけたインバンド客、ミャクミャクぬいぐるみを背中に担いでいる(リュックに入れて顔を出しているのですが・笑)人もいる! とにかく混み合う車内は笑顔で溢れていた~。万博会場「夢洲」のひとつ手前「コスモスクエア」駅を発車、すると車内放送から「コブクロ」のオフィシャルテーマソング「この地球の続きを」が流れだす。もう、車内は期待と興奮の坩堝で最高潮だ~。

上・未来的なデザインの夢洲駅ホーム、期待に膨らんだ乗客が改札へと。
下・改札を出ればミャクミャクもプリントされている大階段。

 駅を出て地上に上がれば青空の下、158参加国(地域)、7国際機関、日本と博覧会国際事務局を含めた合計167旗が旗めいている。1970年の大阪万博を思い出します、そんな高揚感を抑え、人の流れに身を任せ東ゲートにたどり着いたのです。時間は15時30分、入場開始まで後30分。ここでは並んで待つほかない(笑)、今回の旅のテーマが出鼻から挫かれたが特別ルールを適応してノーカウントとしましよう。

上・167旗が青空に映える、ちょっと感動した。
下・東ゲートに到着、ここで入場受付まで待機。日傘を刺している人が多いので姿勢を低くして日陰に入った。

会場に入れば、あの世界最大木造建造物が!!

 16時きっかり、入場受付が始まった。20分もかからず入場できた、手荷物検査のイメージは空港の検査ほどシビアじゃないのか!? 勿論、手間取っている列もありました、あまりややこしい物を持ってこないことですね。

 いよいよ入場! 東ゲートをくぐれば「ど~ん!」と「大屋根リング」が現れた! 今回の私の第一目的はこの「大屋根リング」をゆっくりと一周することなのです。なんと言っても世界最大の木造建造物(現在・ギネス世界記録認定)、使用木材は国産のスギ・ヒノキを約七割使用。歩くことができる「スカイウォーク」の一周は約2,025mで、高さが約12m~! 清水舞台の高さが約13mとほぼ同じ。

夕方近くの西日が「大屋根リング」のシルエットが映し出されている。
リングの近くや下に入れば、その大きさを実感できる。こりゃ、凄い。

 期待に胸膨らませ「大屋根リング」の内径部分に突入、「光の広場」前にあるエスカレーターで「スカイウォーク」を目指します。エスカレーターからアメリカ館」や「フランス館」が見えます、どこも長蛇の列だ・・・。「みんな大変だなぁ」など思いながら、私は一人「並ばないで万博」を楽しくスタート。

「光の広場」にあるエスカレーターで「大屋根リング・スカイウォーク」へ

 「大屋根リング一周の旅」スタート地点は、真北を時計盤の「12時」としたら、「2時」の位置からのスタートです。ここから反時計回りで「大屋根リング」の旅に出かけましょう! まず最初は、この秋から日本放送協会の朝ドラで放映される準主人公?「小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)」と関係の深い「アイルランド館」。

 次に目に入ってきたのが、『わ! ドイツ』(笑)のサインの「ドイツ館」。この『わ』には、循環の『環(わ)』、調和の『和(わ)』、 感嘆の『わ!』の3つの意味があるのです・・・。そして「空の広場」にあるパビリオンは「アゼルバイジャン館」、まぁまぁ人が並んでいる、なぜだろうか? 入場しやすのだろうか?

 真北「12時」の位置には「タイ館」、この建物が面白い! 家を半分だけ作って鏡状の壁に映し込ませた方式、予算も半分で済む賢い!!

右上・アイルランド館 右下・ドイツ館
左上・アゼルバイジャン館 左下・タイ館

 その横には階段のような建物に多くの人たちが並ぶ「スペイン館」、そしてリッチな感じの「サウジアラビア館」。エントラスにステージがある「オーストラリア館」、ここは、人がまだ少なめですね。それに船をイメージさせる形の「インドネシア館」。本当、各パビリオンの意匠に感心させられます。

 「うん!満足、これで8つのパビリオンを見られた!」 

 『えっ? 中に入ってないって!』

そう言う方もいるでしょう。でも、当然ですこの旅のテーマは「並ばない」のですから(笑)。そろそろネタバレの頃合いでしょうね。

右上・スペイン館 右下・サウジアラビア館
左上・オーストラリア館 左下・インドネシア館

オーバーツーリズムをものともせず、スイスイ歩ける「大屋根リング」ウオーク!

 今回の来場の目的は「大屋根リング」を体感すること、それ以上もそれ以下もない。Googleアースでも確認できる造形物を、ただ歩き、風景を楽しみ、2025万博の象徴的「大屋根リング」を体現したかった。オーバーな言い方をすれば、二度と見られない風景をこの目に焼き付けたかったのです! そんなことを言ったら「入場料金が勿体ない!」と思う御仁も多くいるでしょうね。万博の夜間入場料金が3700円、京都にある「苔」で有名な世界遺産「苔寺(西芳寺)」の拝観料3000円です。まぁ、好みもありますが、ただの苔とこの風景(笑)どちらがお得か! 考えなくても答えが出ます、私の場合はねっ!

 勿論、見たかったモノは幾つかありますよ、前の万博で見られなかった「アメリカ館」の「月の石」、「イタリア館」の日本初公開ミケランジェロの彫刻、「パソナ館」の手塚治虫キャラが語る「iPS心臓」。見たかったモノは、全て予約いっぱいか4時間待ち、せっかく来場しているのになんだか時間が逆に勿体無い気がして! 元々、待つことが大の苦手で、常に動いていたい性格でもあるので(笑)。 

「大地の広場」に差し掛かれば大阪湾側の抜け空が見えてきた。

 そうこしていると車専用の西ゲート側、10時の位置辺りに差し掛かると気持ちよく抜けた青空が見える。空をみていると機影が、おそらく関西国際空港に離発着する飛行機でしょうね。これから万博に来る人たちかな、それとも万博の思い出を胸に帰路に着く人たちなのか(笑)。

 そんなことを考えさらに歩みを進めていくと、大阪湾が眼前に広がる風景が迫ってきました~。「進歩の広場」の手前、「スカイウォーク」の足元に「ミャクミャク細胞?」のサインが貼られていた、そのキャラをよく見てみると「夕日型」のデザイン。なるほど、ここが「サンセットポイント」のようです。

ここ「大屋根リング」で一番最高のロケーションじゃないでしょうか! 断言します!

上・進歩の広場」の手前からの眺望、大阪湾に広がる空が気持ちいい!
下・足元に「ミャクミャク細胞?」のサイン! かわいい!

 その風景は大阪湾の全体が眺望できる、右手奥には六甲山系の山並み、その手前には神戸の街から神戸空港に架る橋、左手奥に明石大橋と淡路島の島影。海に浮かぶ大型タンカーのシルエットがまた絵になります!

 まさしく「銀波、金波の茅渟の海(ちぬのうみ)」と昔の人がよく言ったものですね。閉会後、大阪湾をこの高さから見られなくなるのが残念です。今だけの風景を胸に焼き付け、残り半分を歩いて行きます。

神戸の街並みと神戸空港橋がよくわかる。
ひき絵にすると淡路島の島影がうっすらと浮かんでいる! 美しい!!

「大屋根リング」なんとか残す方法がないのでしょうか!? 

 「大屋根リング」の南側(5時から8時の位置)は大阪湾に張り出した「ウォータープラザ」、「スカイウォーク」から眺めるとどこかのテーマパークにも見えますね。「ウォータープラザ」の真ん中に建つモニュメント、フランスの凱旋門をイメージさせるようなデザインで何かなと調べてみれば、夜の水上ショーで重要な演出の舞台装置のようです。私には、あまり興味がないので先に進みます(笑)。

 歩いていて飽きない「大屋根リング」、リング内の各パビリオンの造形もだけれど、所々に設置されたお花畑もその理由だと思う。「スカイウォーク」横の傾斜面には、リサイクル素材でできた保水・排水各層を一体にしたシートに約80万株の花が植えられています。「天空の草原」をコンセプトにしたようですが、どちらかと言えば「天空の花畑」のような空中庭園なのです! 

「ウォータープラザ」は近くにあるテーマパークのようです。
右・「ウォータープラザ」に建つ謎の凱旋門(笑)!?
左・「スカイウォーク」で癒してくれる「天空の花畑」
みんな気持ちよさそうにお散歩ですね。

 そうこうしているうちに、歩き出した東ゲート側のエスカレーターが見えてきた~、この旅のおわりだ・・・。「大屋根リング」を一周し終えつくづく思うことがある『絶対に全部を残すべきだ!』と、一部保存(約200m部分的な保存)は決まったようですが、やはり全部を残さなくちゃ「リング」の意味がないじゃないでしょうか。補修やメンテナンスに費用が掛かるのは分かります、5年後にオープン予定のIR利益の一部とかで賄って欲しいですよ。 

上・歩き出しスタートの「光の広場」前のエスカレーターが見えてきた。
下・「光の広場」には「アメリカ館」入館のための長蛇の列が・・・

 だって、日本が誇る木造建築技術の結晶ですよ、世界に誇るこの技術の証「大屋根リング」を残したいと思うのです。例えば、補修は5年に1回200mづつ部分的に行えば50年で一周、解体した木材は記念グッズに加工して、次の補修のためのクラウドファンディング返礼品の一部にするとか~。経済連や大阪府を含め国がなんとかしてください、お願いします!

一周後、疲れたのでここで休憩、閉幕後もこの芝生でゴロゴロしたい~。

意外なおまけを見ても並ばずに済んだ!

 一周を終えて、東ゲート側の「大屋根リング・スカイウォーク」エスカレーター横の芝生で日落ちまでゆっくり休憩していた(どちらかと言うとボッ~としていただけ。すると「スカイウォーク」の手すり側に人が集まるのです、何かイベントがここから見えるようなので少し待ってみました。すると「ウォータープラザ」辺りから空に向かいカクテル光線が、これが「アオと夜の虹のパレード・水と空気のシンフォニー」とか言う水上ショーのようですね。この後、閉場時間までいろんなイベントがありそうだ・・・、それまで見たら帰宅ラッシュにぶつかり、地下鉄乗車に並ぶことになる! それはダメだ、テーマからズレてしまう(笑)。今回の旅のテーマもクリアーしましたので「では、お先に失礼します!」

 当然、帰りの地下鉄は並ばない上に座って帰れましたよ。

上・「スカイウォーク」の手すり側に人が集まってきた。
下・「フランス館」の奥、「ウォータープラザ」の辺りで何やら始まった。
天高く伸びるカクテル光線、水上ショーが始まった。この隙に帰ります。
ミャクミャク~、さよなら~。

追記

 この記事を書き終えた後に「大屋根リング」解体後、木材の行き先が決まった。万博協会は、解体した木材の無償譲渡先を募集していたらしい。そこに応募していた石川県珠洲市に譲渡が決まり、珠洲市では「能登半島地震」で被災した方の復興公営住宅の資材として活用されるようです。

 市内では、復興公営住宅約700戸が未だ必要とされているみたいで。市の担当者の方が「万博のレガシーを継承することで、復興に向けた光になる」と語られたようです。

 「大屋根リング」は残して欲しかったけど、このような再利用なら大歓迎です!まるで伊勢神宮などの遷宮後のお宮のようだと感じました。遷宮後、古いお宮は解体され、その木材を全国の神社で再利用される循環システムになっているのです。このシステムは日本古来から続いた日本人の知恵だと思います、また誇りにも感じ

ています。

 「大屋根リング」よ石川県に行き人々の希望の光になれ~~~! でも、もう一度歩きたい。

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