第二四話 南オーストラリア・パース〜シャークベイ間
『赤い大地にワイルドフラワーを求め』

ソノひびヨリ

2008年

パースからピナクルズに行く途中で見つけた「エイコン・バンクシア」
熾烈な旅の始まりは、静かな関西国際空港のラウンジから
関空からシンガポール航空に搭乗。国際線のロングフライトには、いつも愛用の「島ゾウリ」に履き替える。

 2008年という古い旅の話だけど、「自然は変らない」ので少々お付き合いください(笑)。この旅は「とにかくワイルドフラワーを探して、写真を撮って来て欲しい。」とのオーダーの元に始まったのだ。何か嫌な予感がしたが、そのオーダーを受け3月に関空から飛びだった。

 南オーストラリア州パース国際空港には、乗りたいエアラインランキング上位の「シンガポール航空」で「シンガポール・チャンギ国際空港」に向かう。約3時間ほどのトランジットを経て、深夜「パース国際空港」に到着した。外の気温は、南半球なのに肌寒い・・・、季節は日本と真逆で夏のはずなのに? 赤道を越え、はるばる南半球に来た実感が涌かなかった。

「シンガポール・チャンギ国際空港」で乗り継ぎ、「パース国際空港」へ
誰もいない深夜の「パース国際空港」。タクシー一台もいない・・・。
大都市「パース」からワイルドフラワーを探しに赤い大地に向かう、そこは・・・

 ホテルで仮眠後、いよいよ出発! 出勤ラッシュのパース市街を歩いて、ミートポイントであるネイチャーガイドのオフィスに向かった。パースは「老後住みたい街ランキング」1位に何度も輝いている街だけど、あまりピーンとこない「ただの都会」に感じる(ゴメンナサイ)。

パースの中心地、朝の通勤風景。天気が悪く、やはり肌寒い・・・。

 ネイチャーガイドのグレィクと挨拶を交わすと、早々にパースを出立した。パースから北上して、世界遺産の「シャークベイ」を目指し、その間でワイルドフラワーを探して旅をすることにした。パースから「シャークベイ」まで約850km、ひたすら走れば9時間の行程だが我々はワイルドフラワーを探し探し前に進む、亀のような歩みになるだろう。3日間をかけ、赤い道とブッシュの中を行ったり来たりするのだ。

 パースから約3時間ほど走って、ようやくオーストラリアらしい風景が現れた! 埃っぽい赤い大地に水汲み風車、学生時代に観た映画、「マッド・マックス(初演)」の世界だ。国道1号線から「ナンバン国立公園(奇岩で有名な)」方面に向かう枝道に入った。枝道に入れば、すれ違う車もほぼ無い、たまに出合うのは大型のカンガルーくらい(これ本当です)。

 赤い大地と道に興奮していたが、「んぅぅ!」ワイルドフラワーが咲いていないじゃないか! いや、ワイルドフラワーらしき植物が見あたらないのだ。「これはどういうことか?」とネイチャーガイドのグレンに聞いた。その答えは「去年、大きな自然火災があった。ワイルドフラワーがたくさん咲くのは来年だよ♪」とハンドルを切りながら鼻歌まじりに語っている。本当かどうかは分らないが、とにかく今、ワイルドフラワーが無いことだけは事実だった! 結局、この日は6時間ほど走り回って1枚の成果もなく終わった。ホテルに着くと、グレィクと直ぐミーティングを始めた、彼が言うには「明日からは車を止めて、ブッシュの中に入り足で探そう♬」。ワイルドフラワーが撮影できなければ、どうしょうも無いので、いやいやながら彼の提案を受け入れた。

小屋の中から、鉄鋲の付き革ジャンを着た男が現れそうだ。
これこそオージーのイメージだ。ただ、花が咲いていない!?
人も歩けばワイルドフラワーにあたる、時々・・・・。

 翌朝、ワイルドフラワーを探すため、グレンが心当りのある場所へと車を走らせた。1時間ほどで到着、そこからは昨夜の提案どおりに徒歩だ。ブッシュの草木の背丈は2m、完全に姿が見えなくなる、声を出し居場所を伝えながら、各自一人一人で探す作戦をとった。そうしているとグレンのが奇声が聞こえた、その声のする方に行くと、この旅、初のワイルドフラワーが咲いていた! カンガルーの足の形に似た「カンガルー・ポー」、その近くには「キャッツ・ポー」という花だそうだ。

先ほどのグレィクの奇声は「ポ〜〜〜! ポ~~~!!」と叫んでいたのが分った(笑)。

左「カンガルー・ポー」 右「キャッツ・ポー」
カンガルーの足にも、猫の足にも似てない気がする。

 2つの「ポー」を撮り終わり、その周辺を見回しているとフラワーエッセンスなどに使われる「カウスリップ・オーキッド」やピンク色がかわいい「スターフラワー」が咲いている。今日は幸先がいい! この調子で次の場所へと移動だ、どこに行くかはグレンしだいだ〜、「まかしたぞグレン!!」。

上 砂地から突然咲いている「カウスリップ・オーキッド」 下 ブッシュを掻き分け見つけた「スターフラワー」

 車に乗り込み、次へと場所移動。グレンが、花の咲いていそうな所を見つけ車を止めた、その時に彼は言った。「言い忘れていたけど、ブッシュの中には毒蛇や毒グモが住んでいるから気おつけてね〜♩」、絶句だ。我々はブッシュの前で躊躇していたら、肩をポンと叩かれ「レッツゴ〜!」てヤツはブッシュの中に消えて行った。こちらもヤケクソ気味にブッシュを掻き分け入って行く。その結果、ここでもワイルドフラワーに出合えた。

左「レッドポーカー」 右「ブルー・ティンセル・リリー」
2つともワイルドフラワーらしい花だ。
ユーカリの仲間「モトルカー」

 後で知ったのだがブッシュには、もっと恐ろしいモノたちがいるって事を・・・。それは発情中の鼻息の荒いオスのカンガルー、これに出合えば完全ノックアウトらしい。そして、もっと厄介なのは米粒より小さな「ダニ」なのだ、このダニに噛まれたら感染症などをひき起し大変なことになるらしい。今から考えればバカな事をやったもんだと思う(苦笑)。でも、ブッシュに入ったからこそ見れたモノも多いのは事実、オージーの自然と触れ合えた事はいい経験になった。

宝石のような甲虫。カメムシの一種か・・・、名前は分らない。タマムシかと思った。
ブッシュの中で食事中のトカゲくんと遭遇。向こうもビックリ、こちらもビックリ。
パースに戻る途中に、奇岩ピナクルズ亭でカップ麺をすするのだ 

 2日間でワイルドフラワーもそれなりに撮れ余裕もできたので、パースに戻る途中に観光がてら「ナンバン国立公園」の奇岩ピナクルズに立ち寄ることにした。ここは観光でメジャーどころ、我々はあまり興味がない、そんな雰囲気を感じたのかグレンは奇岩群のど真ん中に車を進めていく。ここ国立公園なのに大丈夫か?と思いながらも、黙ってまかせていた。ロケーションの良い所に車を止め、何やらゴソゴソしだしたのだ。突如、車に牽引しているトレーラーでお湯を沸かしだしたのだ?? そうしたら大声で「ランチタイム〜!」、青空の下に日本のカップ麺を突き出した〜〜。おぉ、どよめきと歓声があがる! 偉いぞグレン!! 日本食に飢えていた我々には、この旅で一番旨く、思い出に残った味だった。その上、こんな場所で緑のタヌキを食べれるなんてハッピーサプライズだ。

 後で聞くと、我々が来る前の日に買ってくれていたのだと言う、最後の最後まで陽気で心やさしきオージーのグレン。ありがとう。

インド洋に面した「ナンバン国立公園」奇岩ピナクルズで店を開いた。
陽気なオージーを地でいくグレン。
タイトルとURLをコピーしました