ソノひびヨリ 第四五話
奈良県橿原市
『日本建国の原点の地、奈良県橿原市へ』
<後編> 

ソノひびヨリ
奈良県橿原市今井町

今井町の築百年越えの町家でランチ

 「橿原神宮」を後にして、急いで近鉄橿原線「橿原神宮前」へ。なぜ?急いでいるかといえば、今井町で予約してある「農家のオーベルジュ こもれび」さんに行くためです。本当は一二時半の予約でしたが、「橿原神宮特別参拝」に急遽参加するため時間を変更していただきました。変更確認の電話をした時『大丈夫ですよ、ランチ営業は二時半までなので、それまでにご来店ください。」と親切丁寧に言ってくれました(感じの良い対応、ありがとうございます)。そのおかげで特別参拝することができたのです、感謝ですね。だからこれ以上、遅れることはできないのです(汗)。

 近鉄橿原線「橿原神宮前」駅に着いたのが一時半過ぎ・・・、電車で二駅隣の「八木西口」に二時前着、今井町の散策は後回しで一目散に「農家のオーベルジュ こもれび」さん向かいました。

 

上・近鉄橿原線「橿原神宮前」駅舎
下・近鉄橿原線「八木西口」駅
駅近くの「飛鳥川」を渡れば美観地区の今井町エリアに入ります。

 「農家のオーベルジュ こもれび」さんは、「飛鳥川」近くの美観地区(重要伝統的建造物群保存地区)入口の北尊坊通りから徒歩五分ほどでの距離。大工町筋の古民家が建ち並ぶ中、白い暖簾よく目立つお店が「農家のオーベルジュ こもれび」さんです。どうにか迷わず、二時過ぎに無事到着です~。

 暖簾をくぐりと、足元には石畳が弾かれていて、見上げれば大きく太い梁が百年の歴史を感じさせてくれる。小上がりを上がれば、リノベーションされたお部屋にテーブル席(二室)と中庭を眺められるお座敷席(一室)がありました。案内されたのがテーブル席、できればお座敷席が良かったのだけど、お昼の営業時間ギリギリだったので文句はありません(笑)!

大工町筋に面した「農家のオーベルジュ こもれび」の外観です。
小上がりから見た玄関
お座敷席、ここに座って食事したかった~、次の機会を楽しみにしておきましょう。

 この「こもれび」さんは、築百年以上の町家を改築し二〇一九年にオープンしたオーベルジュ。一日一組の宿泊とランチ・ディナー(要予約)の営業をしています(ランチの場合も予約がオススメ)。

 本日、私たちが予約したランチは一番の人気メニュー「花籠ランチ(税別二千円)」。花籠の中に所狭しと並んでいる一品料理! メインはハンバーグに見えるけど、どちらかというと野菜たちがメインなのです。野菜はほぼほぼ地元の大和野菜、もちろんお米も奈良県産「ヒノヒカリ」! 野菜の味がとても濃く甘味があってとても美味しいお野菜です。花籠ランチの内容は時期によって変わるので、季節感も感じられますね。

 古民家の落ち着いた空気感の中でゆっくりしていたら、三時前になっていた~、慌ててお会計と時間変更のお礼を伝え散策へと向かうのです。

花籠ランチです、これにご飯とお汁が付いてきます~
そして、食後のデザートとドリンクでゆったりタイムですね。これも花籠ランチについてます。

今も昔も変わらない町並み、今井町散策を楽しむが・・・

 「農家のオーベルジュ こもれび」を後にして南へ、今井町散策のため御堂筋(大阪の御堂筋じゃないですよ・笑)にある「夢ら咲長屋(観光案内所)」向かいます。そこで町並み散歩の地図をいただき散策スタートです。「夢ら咲長屋」は案内所だけじゃなく休憩所(お手洗いもあります)にもなっています、これからは暑くなるので熱中症を予防するため、散策の途中にここで休憩を取ってください。

「農家のオーベルジュ こもれび」から南へ、「夢ら咲長屋」に向かいます。
御堂筋沿いにある観光案内所&休憩所の「夢ら咲長屋」

 ここで今井町の説明を、今井町は戦国時代に寺内町(中世後期から近世にかけて、主に浄土真宗の寺院の周囲に造られた宗教的な自治都市)として都市計画して作られた町で、江戸時代には商業都市としても栄え、「海の堺」「陸の今井」と呼ばれていたそうです。東西約六〇〇m、南北約三一〇mの地区内には、現在も江戸時代のままの建造物が軒を連ね、「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されているのです。あまり時間がないので駆け足で散策のスタートです。

 先ほどの「夢ら咲長屋」で頂いた、散策マップを片手に歩き出すもすぐ文化財に出くわします。「夢ら咲長屋」の並びにある「豊田家住宅」、ここは一六六二年(寛文二年)江戸時代初期の建築で、幕末には藩の蔵元をつとめていた豪商だそうです。もう少し西に進めば、豊田家歴代当主が収集したお宝を展示している「紙半 豊田記念館」もあります、入館無料ですよ(時間がないので今回はスルーです)。

 その先には環濠(ため池)? 地区内西端に一六五〇年(慶安三年)に建てられた「今西家住宅」があります。ここは今井町の「惣年寄(町政をまとめ人たち)」の筆頭をつとめた方の家で、民家には珍しい構造で別名「八つ棟造り(棟と棟が連結していて、上から見た形が「エ」の字状に見える構造、神社建築の様式のひとつ。)」 とよばれているのですって。ここの入館見学には事前予約が必要みたいです、行かれる方は注意ですね。

「豊田家住宅」の鏝絵の屋号紋(家紋)、建物の左右でデザインが少し違っている・・・なぜだろう。
「今西家住宅」ここも左右で屋号紋(家紋)が違う、江戸時代の流行りだったのだろうか、不思議だ。

 「今西家住宅」から本町筋を東へ向かうと、「今井つどい館・もより」という民芸品などを展示している休憩所がありました。元は酒蔵だった建物を休憩スペースにリノベーション、ここにもお手洗いがあります。今井町ってホスピタリティー抜群ですね。

 そのまま進んでいけば町屋の室内が見学できる「今井まちや館(無料)」があります。建築は江戸中期、長らく空家だったので痛みが激しかった建物を、復元修理して一般公開しています。屋内には当時の生活の様子が分かる家財道具を展示していて、ハシゴでは天井裏の部屋へも行くことができ、今井町にある大型町家を体感できる施設です。

休憩スペース「今井つどい館・もより」
この地区に住んでいる親子だと思うけど、この生活感がまたいい! 見せかけの美観地区じゃなく、生きている町を感じられる!
「今井まちや館」当時の生活感がよく分かります。

 「今井まちや館」を出て向かいには「小林豆腐店」、ここに豆腐の自動販売機があり驚いた! 人生で初めて見ましたよ、買いたかったけど帰るのに時間がかかるので、なま物だから泣く泣く諦めました(写真も撮り忘れてしまい・・・涙)。

 そのお隣の、ゆる~い手描きの鬼の看板が笑いを誘います。一体ここは薬局?薬の会社? よく見れば「端壮薬品工業」と看板が上がっていて、一九〇五年創業の伝統薬の風邪薬「おにみみ」を製造する老舗薬屋さんでした。今はクラフトコーラ「おにみみコーラ」が有名らしいです。お土産に良いかもしれませんが、鬼が店の前にいて、なんだか入りずらいのですよ・・・(笑)。

 鬼を後に、次の重文に向かうため一本西側の中町筋に向かいました。

左・小林豆腐店さん、この左手に豆腐自動販売機がありました。
右・端壮薬品工業のゆるキャラ?「おにみみ」?、でもこの鬼には耳がないです・・・。
中町筋の佇まい。この日は比較的に観光客が少なく静かな印象です。

 中町筋の「旧米谷家住宅」に到着、この建物がいつ建ったのかハッキリとしないみたいです、推定で一八世紀中頃(江戸中期)と伝わっています。屋号を「米忠」といい、金具商を営んでいました。ここも無料で室内見学ができます、裏庭には数奇屋風の蔵前座敷が建っていてなかなかの見応えがあります。

 そして隣には「今井景観支援センター」があります、「支援センター」と聞けば新しい建物を想像しそうですけど、ここもなかなか古く一八五六年(安政三年)の建築物です。ここは「今井町並保存整備事務所」でもあり、町並み景観の保存・整備・活用を行う「橿原市教育委員会」管轄の部署で歴史的建造物の修理・修景への補助を担っている所です。そう言うとなんだか堅そうな施設に感じますが、ここには今井町で撮影された映画・テレビドラマなども紹介されていて浸し見やすい施設です。もちろん内部の見学もできます、二階の展示室には昔の町並みの写真も展示されていますよ! 

 ちなみに、私が今井町を訪れるのが二度目で、初めて訪れたのが二五年ほど前のことでした。その時はロケハンで「縁側から中庭」が見える家を探しにきたのです。その時の今井町は今のように美しい町並みではなく、所々に朽ち果てかけた住宅があったことを記憶しています・・・。それから四半世紀、今井町は見事な江戸期の町並みを取り戻したのですね。本当、関係者・住人の方々はご苦労なさったと思います、困難もあるかもしれないけど、この先もこの美しい景観を守り続けてください!

中町筋の「旧米谷家住宅」。平家造りで見た目が一番気に入りました。是非、内部の見学を!
旧米谷家住宅の西隣り「今井景観支援センター」。朝の連続テレビ小説もここで撮影されていたようです。

 散策に夢中で、気がつけばそろそろ帰る時間が近づいていました。最後の訪問先は本日のメイン~、中尊坊通りにある一七七二年(明和九年)創業の「河合酒造」さんへ。建物はもちろん重文の「河合家住宅」、主屋の建築年代は一八世紀後半頃とみられていて、外観の二階の白漆が美しい優れた意匠の建築物です。

 なんと言っても酒蔵なので「利き酒(三種類・千円)」ができると聞いていたので、看板銘柄の「出世男」を楽しみに向かいました。ところが・・・店舗前に白い貼り紙、「休業日」と味気なく書かれている。なぜなんだい? GW中だよ? こんな日によりによって休みますか! この旅の最後に、こんな間抜けな事になるなんて・・・。

 この後、家路へ向かうがあまりのショックにて記憶が消えている(苦笑)、どこで何を買ったのか、どこで何を食べたかすら・・・。旅にはこのようなトラブルはつきものと、いつか笑える日がくるはずさ。

休業日の河合酒造さん・・・。

追記

 この記事を書き上げた時に、ハッピーニュースが飛び込んできた! 日本で初めて中央集権体制誕生を示す「宮殿跡・寺院跡・墳墓」一九件で構成される遺跡群「飛鳥・藤原の宮都」(奈良県橿原市、桜井市、明日香村)が、世界文化遺産に登録される見通しとなりました~! 正式には、七月一九日韓国・釜山で開かれるユネスコ世界遺産委員会で発表されるようです。奈良県、並びに橿原市、桜井市、明日香村のみなさま、おめでとうございます!

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