ソノひびヨリ 第四四話
大阪府大阪市
『都会にあった渡し船、すべて渡ってみた!』
<前編> 

ソノひびヨリ
木津川渡船場(住之江区側乗り場)

大阪市住之江区と大正区を繋ぐ「木津川渡船場」

 大阪市内に「渡し船」がある事を知ったのが、約四〇年前の昭和後期だった。たしか、大正区に住む友達の家に遊びに行く時に乗船したことを覚えています。その「渡し船」が現代まで、まだ残っている事をネットニュースで知りました! 

 驚くあまり「なぜ?」今まで残っていたのか調べてみると、このエリアには河川や運河沿いに工場が多くあり、資材の運搬を海上交通で担っているようです。すなわち、大型の貨物船が河川を通行するには橋桁を高くして、航行の邪魔にならない様にするしかありません。橋桁を高くすれば歩行者(橋を渡るため)は、まず上まで昇らなくちゃなりませんね・・・。「新木津川大橋」で例えるならマンションの14階まで昇ことになります、この高さでは歩行者・自転車での日常利用に不便なので「渡し船」が現在まで運行されているようです。

 そして、なんといっても嬉しいのが、全ての航路が無料で乗れるのです!! 大盤振る舞いですね!

大阪市八つの渡し船マップ

 と言うことで乗船の旅に向かいました、一度に八つの渡し船乗船には、時間的にも無理がありそうなので二日(二回訪問)に分けることにしました。一回目は五つの渡し船に乗船して、久しぶりの大正区なので友達に会い、沖縄料理を楽しむ旅にすることにしましょう(笑)。

 大阪メトロ・四つ橋線「北加賀屋」下車、そこから渡船場まで徒歩で「南港通り」を西へと進みます、「敷津運河」を超えて右折(北へ)して行き止まりまで進めば「木津川渡船場」に到着。駅から約二キロ、徒歩時間が約三〇分です。

「木津川渡船場」住之江区側の待合室、後ろに見えるのが人も渡れる「新木津川大橋」
平日の朝夕の通勤・通学時には10分おきだけど、昼になると1時間に1から2本になります・・・、1日平均170人が利用しています。
「ふね遺産」の認定書!? 公益社団法人日本船舶海洋工学会が認定する、歴史的で学術的・技術的に価値のある船舟類およびその関連設備を表彰する制度だそうです~。

 「木津川渡船場」は住之江区平林北一丁目と大正区船町一丁目間、岸壁間・約二三八mで乗船時間・約二分三〇秒で結んでいます。川幅がそこそこ広く、乗船中の眺めは中々のものです! 川の中央部から見上げる高さ四六mの「新木津川大橋」は圧巻です、普通では見られない眺めが船旅の醍醐味でもありますね。

 この「木津川渡船場」の歴史で驚いたのは、昭和三〇年に「カーフェリー(一三四トン)」が運航されていた事です! 昭和四八年、上流部に「千本松大橋」が開通したことで翌年には「カーフェリー」が廃止になり、人と自転車のみを運ぶ現在の形式の渡船となったそうです。

 船窓も良いのですが、最近では大阪湾の水がきれいになったためか、多くの野鳥(渡鳥)が飛来することでバードウオッチングを楽しみにしている方が増えているようですね。

「新木津川大橋」、木津川に架かるアーチ橋。主橋梁の橋長は495m、大型船の航行があるため主橋梁の桁下高は四六mと高い~。
八つの渡し船の中、唯一の「港湾局管理」の航路です。大正区側へ到着、対岸の住之江区側を撮影。

工場が建ち並ぶ「木津川運河」を渡す「船町渡船場」

 「木津川渡船場」大正区側より工場地帯を五分ほど歩けば「船町渡船場」に到着するはずだけど、川岸らしい場所が見当たらない? 道の先は行き止まりのように見えるけど、地図に従い歩いて行けばコンクリートの壁に「船町渡船場」の標識が掲げられていました。壁の横には緩やかなスロープがあり、壁のようなモノはどうやら護岸だったようです。そういえば、大正区は海抜ゼロ地帯が多いので陸から川面を確認しにくいですね。スロープを上れば「船町渡船場」船町側乗り場が見えました~。

行き止まりのように見えた防波堤。自転車でスロープを上っていく方は、乗船する利用者でした。
平日の朝夕は10分から15分刻みでの運航。平日の夜は21時まで運行している!

 対岸の「鶴町乗り場」まで約七五m、驚くほど近い! 乗船時間は一分程・・・「あっ」と言う間に船旅終了です(笑)。昭和二〇年代後半から三〇年代にかけて、川幅が狭いことを利用して対岸まで船を連ね、その上に板を敷き人や自転車がその上を渡ったらしい・・・。まるで「因幡の白兎」のようです。

対岸の「鶴町乗り場」からUの字を描くように船が向かってきました。
上・乗船中の風景。下・「船町渡船場」鶴町側。

珍景「メガネ橋」よりも、人気の「千本松航路」!?

 次に向かうのは大阪で言う「メガネ橋」で有名な「千本松大橋」の下にある「千本松渡船場」です。「船町渡船場」から東へ約二キロ、二五分ほどの歩行時間で到着です。大正区南恩加島一丁目と西成区南津守二丁目を結ぶ、岸壁間二三〇mの航路で、両乗り場の横には橋の両端部が二階式螺旋状坂路(即ち七二〇度ループ)となっているループ形状が間近で見れます! 

 面白い景観なのだけれど利用者の気持ちになれば、高さ三六m(マンションなら一二階の高さに相当)、誰も昇って渡ろうなんて気になりませんよね。そのためか「千本松渡船場」の利用者は、一日平均で千人弱もいるのです、八つの渡し船で一番の人気航路なのです(笑)。

右・少し入り組んだところに乗り場がありました。
左・さすがは人気の航路ですね、平日のお昼にも4便もあります! 

 さて、「千本松」という地名前ですが、見渡す限り「松」がない・・・。この地名前の由来を調べてみると、このあたりは木津川の川尻に近く、江戸時代には諸国廻船の海上交通の多いところでした。幕府は、航行の安全のため水深を確保し、それと共に護岸工事も行ったようです。その時の護岸(堤防)に松が植えられたことで、この名に由来しいるのです。今は面影すらありません、美しい松原はどこに行ったのでしょうか。 

対岸の西成区側から船がきました。メガネ橋の下をくぐってきます。
さぁ!乗船です。渡船場ではゲートを通り乗船するまで、危険なので写真やビデオ撮影が禁止されていました、すみません!
乗船時間・約1分半で西成側へ到着します。乗り場には学生の姿もあります、さすがは人気航路です。

歴史は江戸時代、いにしえの?「落合下渡船場」

 「千本松渡船場」西成区南津守二丁目から木津川に沿って上流へ、二キロほど歩けば「落合下渡船場」西成区津守側の乗り場があります。対岸の大正区平尾乗り場までの距離は一三八m、「船町渡船場」ほどではないけど、ここも距離が近い!

 ただ、この渡しの歴史は古く天保一〇年(一八三九年)江戸時代から運航されていたことが文献に残っているそうです。現在でも一日平均四〇〇人弱に利用されています。ちなみに、一番近い橋で三〇分もかかる「メガネ橋」なので、そりゃ渡し船を利用しますよね。

「落合下渡船場」へのスロープ、堤防の向こう側には木津川が流れています。ここも平均1時間に4便と多いですよ。

 しばらくすると対岸から「ちどり丸」と記された船がやってきました、この辺りは四月下旬になると「千鳥」じゃなく「ユリカモメ」が数百羽飛来するそうです。大正区平尾乗り場には、野鳥よけとして設置されてるリアルな「フクロウ像」がありましたよ(正面から撮影するのを忘れてしまった~・涙)。

 本日の最後の航路に乗るため、再度、乗船して西成区側へ戻ります。いわゆる、「行って・来い」ですね(笑)、私の都合ですけど~。

「ちどり丸」です。出航時間に近づくと、徐々に多くの人が集まってきた!
仕事帰り、買い物帰り、学校帰りの利用者の日常の風景ですね。すぐに大正区平尾側に到着です。
野鳥よけの「フクロウ像」、畏怖堂々としてますね。

本日最後の「落合上渡船場」から船に乗り、向かうは大正区の酒場へ

 「落合下渡船場」西成区側に戻り、さらに木津川上流方向へ約八〇〇m一〇分ほど歩けば「落合上渡船場」に到着します。ただ、ここの標識が分かりずらく見落としそうになりました! 渡船場入口の表示は無く、信号機の交差点名表示板で確認をするしかありません。ちょっと不親切です、地図などをちゃんと見て素通りには注意です。

 この「落合上渡船場」は、西成区北津守四丁目と大正区千島一丁目を繋ぐ、岸壁間一〇〇mの航路です。乗り場からは国内で珍しい形をした「木津川水門」が見えます、台風などの高潮をせき止めるための構造物ですね。アーチ型の形状がとても美しいです、この他に「安治川・尻無川」の水門があり、その三つを「三大水門」と呼ばれているそうです。
アーチ型水門の「木津川水門」。ここも平日昼間は四便ですね、1日平均利用者は500人弱で人気の航路です。

 この辺りの歴史といえば、江戸時代の宝暦一三年(一七六三年)に新田開発をされ、その後、明治以降も鉄工所や造船所などの工場が立ち並びました。また、関西随一の木材市場を支えた「大正運河」があり、現在は埋立てられ「千鳥公園」になっています。今日の最終目的地が、「千鳥公園」近くにる大正区で有名な居酒屋「正起屋」さんです。本日の旅はここまで、次回は残りの三つの渡し船に乗船します!

 どうでしたか、大阪市内観光に組み入れては如何でしょうか? なかなかの珍道中になりますよ! なんて言ったって無料がいいですよね~。

船が大正区側から到着、再度、大正区へ
大正区側の乗り場はこんな感じです、海抜ゼロ地帯の様に見えます。
「千鳥公園」近くにる大正区で有名な居酒屋「正起屋」さん
沖縄料理が美味しいのです!ゴーヤサラダ、ナーベラーチャンプル、もずく天ぷら、ゲソ塩焼き~。お酒はもちろん島酒です。

 
 
<その2に続く>

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