第二六話 大阪府岸和田市
『だんじりだけじゃない、岸和田市は観光立国だった〜!』 

ソノひびヨリ

2023年 4月

岸和田城
岸和田市のシンボル「岸和田城」
関空と大阪ミナミの間にすごい観光立国「岸和田市」を見つけた〜!
岸和田駅
南海本線「岸和田」、駅高架下には便利なビジターセンターがある。

 大阪の繁華街ミナミの最寄り駅のひとつ南海本線「難波」より約25分、南海本線「関西空港」より約18分で行ける「岸和田(岸和田市)」。岸和田と言えば全国的に「だんじり」が有名だけど、それだけではない! 大阪観光を終え夕方の関空発まで少し時間があった、ならば「岸和田」に途中下車の旅だ(笑)。なぜ、「岸和田」なのか? それは関空からの往路に見た車窓の風景、「岸和田城」の姿があまりにも印象的で美しかったからだ。5時間弱のミニミニ散策の旅に出てみた。

 駅下にある「観光案内所」で散策マップを頂いてスタート、目の前のアーケード街に進んでいく。アーケード内の商店街には、老舗だろうと思われる看板を見かけるも、多くがシャッターで閉まっていた・・・(少し残念)。古い写真館のショーウインドウには「だんじり」の写真が飾ってある「おぉ! だんじりの町に来た」実感が湧いた。

 暫し進めばアーケードの終点、交差点を渡り左にまがれば「かじやまち」。路地の両側には小さな商店が数件あり、ここは「国民的朝ドラ」でロケにも使われている、「かじやまち」の名の通り民家の軒先に「鉄砲鍛冶屋街之跡」と書かれている看板が置かれている。

鉄砲鍛冶屋街之跡
軒先に「鉄砲鍛冶屋街之跡」。地置きが気になる(笑)。
その隣りには、大きなソロバンと木の看板が飾られている? なに跡かは分らなかった・・・。

 「かじやまち」を抜けきると参勤交代などに使われた「紀州街道」にあたる、この街道をお城方面に歩いた。街道沿いには、大正建築のビルヂング(笑)や江戸時代の旅籠であろう木造建築物が、多く残っていて散策にはうってつけだ。途中に幕末の立役者の一人、長州藩・松下村塾の「吉田松陰」が逗留した「塩屋平衛門宅(現・久住宅)」も有り散策しがいがある街道です。

こなから坂
「左・こなから坂」に向かえばお城方面、紀州街道を進めば「吉田松陰の逗留地」。
「吉田松陰の逗留地」の向かい近くには「まちづくり館」がある、
中に休憩所やトイレが完備されていてちょっとしたビジターセンターかな。

 駅より降りたって1時間弱、この辺でお城に向かうことにした。偶然にも、「岸和田市お城まつり」が開催されていた、ちょうど桜も見ごろなのでお弁当でも買って花見と洒落込むことにした。近くで手頃なお弁当屋はないか、携帯で探していると「お弁当・一芳亭」を発見。「一芳亭」を調べてみると大阪で有名な老舗焼売屋さんだ、場所もお城の堀の前にあり好都合、そこで買うことにした。

岸和田城
岸和田 一芳亭
桜が見ごろな岸和田城。そのお堀の前に店舗を構える「お弁当・岸和田 一芳亭」さん。
この日のランチメニューは「名物・焼売」と「酢豚&鳥揚げ弁当」

 お堀前に店舗を構えているテイクアウト専門店「一芳亭」さん、時間は昼前で多くの電話注文を受けている、大繁盛のようだ。メニューを見れば、「名物・焼売」だけでなくお弁当の種類が豊富にある、「鳥から、焼きそば、酢豚、ヒレカツ、チキン南蛮、豚照り焼き、各弁当」が550〜610円と安い! 悩んだあげく、お弁当は「酢豚弁当(610円)と鳥揚げ弁当(550円)」それともちろん「名物・焼売」をチョイスした。

 花見と言えば、やはりお酒だ(笑)、どこかで買いたいが来た道には無かったので、お弁当を待っているお客さん(地元らしい)に尋ねてろと「お城の中で出店が出ているから、そこで買えば良い」と親切に教えていただいた。岸和田って怖いイメージだけど(笑)、丁寧親切なホスピタリィな町なんだ〜。

 二の丸広場で花見のあとは、天守で泉州を物見。

 お店から道路を渡り、堀沿いに歩けば二の丸跡の「二の丸広場」に到着。先ほど聞いた出店(キッチンカー)が多数出店をしていて賑やかに「岸和田市お城まつり」が開催されていた。出店で地ビールを買って満開の桜の下でお弁当を広げる、もう少しお弁当の話を(笑)。大阪の焼売イメージと言えば「551蓬莱」、この「一芳亭」さんの「名物・焼売」はそのイメージを変えてしまうほど正反対だ〜! その食感はソフトでジューシー、噛んだ瞬間に肉汁があふれる! オーバーに言うなら小籠包のイメージですね。お味はしつこくなく上品、他にはない美味しい焼売です。来阪時にチャンスがあれば一度、食べてみてください。一緒に買った「鳥から、酢豚」にもすごく満足、添え物のサラダなんて「シャキシャキ新鮮」感動のお弁当だった。

岸和田城
桜に挟まれ大手門をくぐれば、天守前の「八陣の庭」

 お腹もいっぱい! そろそろ入城と致します。このお城は、江戸時代1640年に岡部宣勝が入城以来、明治維新まで岡部氏13代に渡り城主として岸和田藩を統治していました。その後、明治4年(1871年)廃藩置県により廃城、昭和29年に市民の寄付や旧城主の子孫である岡部氏により再建された天守。

 天守の前には国の名勝、砂庭式枯山水庭園の「八陣の庭」がこじんまりと可愛くあり(笑)。この庭園は諸葛孔明の「八陣法」をモチーフにして造られていているんですって、「知らんけど」(このフレーズよく聞きました・笑)。

 城内は資料館になっていて入場料が300円、天守閣からの見晴らしはなかなかのものです。西には泉州の海、東には葛城山系が広がる気持ちがいい風景。風景を愛でていると、南側の堀横に気になる建造物がある! まだまだ、時間があるので行ってみることにした。

岸和田城
泉州の海が見える、左の方に関空がある。見えないけど・・・。
何やら気になる建造物を発見。

 天守閣から降り大手門から、桜並木が美しい南側のお堀沿いを歩くと目的の建造物に到着。どうやら、現在は「五風荘」というレストランになっている、表に立っている案内には戦前の財閥・寺田利吉が旧岸和田藩の新御茶屋跡に3年もかけ造営した大邸宅だと書いていた。驚いたのは、昭和初期の建築なのに全室空調管理がされていた!? そのシステムのことは何も書かれていないので、「?」のままですが・・・、でも当時の最先端技術を集めた邸宅だったんだ。

 「五風荘」の建物内は、レストラン営業しているので見学できないけど(食事をすればいいんですけどね)、庭園は無料で入れますよ。

岸和田城
お堀の南側の東端からの天守閣、この向かいが「五風荘」
五風荘
五風荘
「五風荘」営業時間はランチタイム11時より15時、ディナータイム17時より21時30分
五風荘
暖簾のかかる玄関の直ぐ横に庭園への入口があります、無料ですよ(笑)。
おぉ〜、ここにもすごいお宝があった! 奥深し岸和田市!! 

 「五風荘」の庭園を後にして、再度「紀州街道」に戻って散策がてら駅に戻ることにした。

 「紀州街道」沿いには老舗らしき和菓子屋や提灯屋(さすがはだんじりの町)、シャッターが降り閉店しているだろう昭和レトロな本屋さんなど、見飽きしない散策にもってこいの道だ。街道近くのお肉屋さんの前でコロッケを食べている小学生、大きな声で歌を歌い自転車で走ってくる中学生の集団〜、ここは昭和かって笑ってしまうくらいノスタルジー溢れる町だ!

 そんな一団とすれ違った場所に「きしわだ自然資料館」があった。外観は耐震性のためリニューアルさせているが昭和初期のレトロな匂いがする佇まい、本日のラストに入館してみることにした。

きしわだ自然資料館
「きしわだ自然資料館」、綺麗にリニューアルされているがドアに古き良き匂いがした(笑)。

 1階、入って直ぐに「魚の水槽コーナー」と「ミュージアムショップ」があり、2・3階の展示スペースには入館料200円で展示物を見ることができる。1階に券売機があるのでチケットを買って2階へ(JAFカードを持っていたら10%ほど割引があります、親切な職員さんが教えてくれました)。

 2階へ上がると、象の骨格標本(レプリカ)がお迎えしてくれる。2階の展示物は、岸和田を中心に南大阪・泉州地域の自然を実物標本や模型・ジオラマで紹介されている。それと、ここで生まれた学習プログラム「チリメンモンスター」のコーナーもある。知らなかった、ここが「チリメンモンスター」ブームの火付け役に絡んでいたとはビックリだ!

きしわだ自然資料館
2階展示スペース、海竜の骨格見本が目玉らしいけど撮り忘れた〜〜。

 そして3階へ、今回の旅で一番驚いたのがこの展示だった。展示ルームに入ってすぐ、2体のホッキョクグマの剥製が威嚇ぎみに迎えてくれる(笑)。ライオン、トラ、ヒョウの猛獣たち、ヒグマ、ツキノワグマ、オオカミも、サバンナに生息する草食系動物たちが所狭しと展示されている〜〜。

 この剥製コレクションは「蕎原コレクション」と言い、蕎原氏が当時の東南アジアの困窮に心を痛め救援活動をしたいと考え、救援資金を集めるために「剥製の動物園」的な発想で展示し資金を集めた。当時、動物園には種類が少なかっただろうから、相当めずらしかったと思う。その後、活動を終え岸和田市に寄贈したそうです。

 そして、岸和田市は単なる展示ではなく地球環境保護・自然保護の観点からこの「きしわだ自然資料館」を作ったんだって、う〜ん深いな。学芸員さんに聞いたところよると、この剥製たちは全国の施設に貸出されて学習目的で活用されているんですって。

きしわだ自然資料館
きしわだ自然資料館
きしわだ自然資料館
い〜やぁ〜、一度、来館してください! とにかく凄いから。
通路にはシロクマちゃんが座っているし・・・

 とにかく、凄いインパクトを受け「きしわだ自然資料館」を後にし岸和田駅に向かうのだ。

 この小旅行の5時間あまりは、驚きの連続だった。岸和田にこんなにも観光資源があるなんて・・・、おそるべし岸和田、観光立国・岸和田だ! 関空発着で大阪観光その折は、是非、岸和田に足を運んで欲しい、また違う大阪を感じることができるはず。あぁ、飛行機の時間が・・・。

旧・四十三銀行岸和田支店
駅に戻る途中、紀州街道で出合ったレトロ建築。左が「旧・四十三銀行岸和田支店」
右が「旧・和泉銀行本店」
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