ソノひびヨリ
2023年 12月25日
竜王と深い関係!?の「室生寺」
「妙吉祥龍穴」を後にして、バス停車場のある「室生龍穴神社」に向かい歩いていると軽自動車が止まった。運転手していた方が、「下まで乗りますか?」と声を掛けてくれた。「旅は道連れ、世は情け」と言ったもので、そのご好意に甘えさせていただくことにした。話を聞けば三重県伊勢市から「妙吉祥龍穴」にお参りにきたそうだ、さすがは伊勢市民! 信心深さが伺えると感心。ほんの5分ほどの旅先でのふれあい、名前も聞かずお別れしてしまった。本当にありがとうございました!!
神社前で降ろしてもらい、ここから徒歩で約15分室生寺周辺に向う。室生川沿い県道を歩くとすぐ集落の入り口に差し掛かった。まずは腹ごしらえと思い、300mほどの商店街を端から端に歩いた。
端から端に歩いた結果、悲しいくらいにシャッターが閉まっていた・・・。商店街の入り口付近で一番初めに声を掛けてくれた「室生寺」門前に店を構える「旅館 橋本屋」さんまで戻ることにした。創業明治四〇年の老舗旅館「橋本屋」は「室生寺」に掛かる「太鼓橋」横で、お昼に食事処として営業されている。歴史を物語る店構えと内装はさすがだ、それと著名な作家が数多くここを常宿として利用していた。客室には写真家として有名な「土門拳」さんが撮影した写真を飾っている。今でも宿泊が出来るのか聞けば、残念なことにこの建物での宿泊は行なっていないらしい(現在)。
客室には1組のお客さんが居るだけで貸切状態だ(当たり前か、クリスマスですから)、客席から「室生寺」に架かる橋がよく見える席に座れた。「現生で腹を満たしたら、あの橋を渡って浄土に行こう」と、選んだものはもちろん精進料理的な「山菜定食・あじさい」2,300円。ご不浄をしないため動物性タンパクは一切なし~~(少し寂しいけど)、味は優しくほっこりして美味しい、素材を活かした何の衒いも無い昔からの調理が心に染みます。室生に来たならばおすすめのランチですよ!
「奥の院」は奥にはなく「山頂院」だった。
お腹も満たした、さぁ!「室生寺」へ。太鼓橋を渡り、入山料600円、国宝が間近で見られる「寳物殿」400円で浄土に向かう。
ちょっと余談ですが、実はこのお寺の訪問は予定してなかったのですが、急遽参拝をすることに。なぜかと言えば「室生寺」がかつて「龍王寺」と呼ばれていたからだ。「日本紀略」によると、「50代・桓武天皇」がまだ親王の頃、病を患った。その治癒を祈願するため「妙吉祥龍穴」で祈祷を上げさせた。すると病は癒やされ50代天皇に即位した。その感謝の気持ちを込め勅命を出し「室生寺」を大きくしたと伝わっている。このような事を知った限り! 龍穴パワスポ巡りからは外せないと思いここにきたのです。
阿吽の仁王像が睨む「仁王門」を越えると聖域、早くも陽が傾き出してきている。これは足早に回らなけばと気持ちが焦る・・・。
焦る気持ちを抑え、石段の上の国宝の仏像が祀られている「金堂」に向かった(ここは撮影禁止なので注意です)。心を落ち着かせ「金堂」に上がれば、平安前期に作られた国宝「釈迦如来立像」が居られた。全てが美しいが、特に腰衣の「朱色」に目が釘付けされた、時代を超えても色が残っていることに驚いた。
その横には同じく平安時代に作られた重要文化財「薬師如来立像・文殊菩薩立像」、そして鎌倉時代作の重要文化財「十二神将立像」の六体(子神・丑神・午神・申神・戌神・亥神)が仏たちを守るように前に立っている。数分間、見惚れていると、柱の影から声が聞こえた、その声の主はお坊さまだったのだ。しばらくの間、親切に色々と教えてくださった。きっと、アホずらをしていた私が餓鬼道に落ちないよう説法してくれたんだと思う(笑)。
お礼を言い「金堂」横の石段を上がって「本堂」へ、足早にお参りを終え「五重塔」に向かうことにした。「五重塔」に向かう石段は、先ほどの石段より少し長苦なっている・・・嫌な予感が頭を過った。
嫌な予感はさておき、平成10年の台風で甚大な被害を受けた国宝の「五重塔」は綺麗に修復されていた。今でも覚えている、巨大な杉の倒木に破壊された「五重塔」の映像を、日本の修復技術は本当に凄いと改めて思った。
次に向かうは「奥の院」、「五重塔」横の参道から何やら怪しい気配がしてきた。一度降り、緩やかな石段を上がっていけば朱色の橋が見る。その橋の奥には「やはりか・・・」と絶望的な気持ちになるほどの急勾配の石段が現れたのだ。とにかく登るしかない、途中、手水場の休憩場があったので一休みをした。息を整えながら下を眺めていたら、数人の参拝者が石段を見上げては諦めて帰る姿を見た。それも仕方がないだろうと思う、私自身も心が折れそうになっていたから(苦笑)。
休憩を終えて再度、石段を只ひたすら登っていると、ようやく御堂のような建築物が見えてきた。御堂は舞台のような造りをしている、さぞ良い景色が待っているんだと信じ込み頑張るだけだ。
なんとか「奥の院」に到着。そこには重文の「御影堂」、お土産やお札を置いている売店がある。もう、ヘトヘトで何も見る気がなくなっている(苦笑)、せめて先ほどの舞台から景色を眺望して降りることにした。御堂を回り込み舞台側へと回ってみれば、雑木林に囲まれていている! それでも見える隙間を探し出し、室生の集落を見下ろした。絶景と言うほどでもないが満足な気持ちが膨らんでいく、仏のご加護だと感じることにする。
時計を見ればすでに3時前、「寳物殿」を見学しなければいけない重い腰を上げた。長い長い石段を降る、登りより楽だと言え降りは膝に負担がかかる、麓の「寳物殿」に着く頃には膝の笑いが止まらなくなっていた(情けない・・・)。
しばらく「寳物殿」前で休憩を取り入館。この「寳物殿」には先ほど「金堂」で鑑賞した「十二神将立像」の残り六体(辰神・未神・巳神・酉神・卯神・寅神)と「十一面観音菩薩立像、地蔵菩薩立像、釈迦如来坐像」などが展示されていて間近で見ることができる。仏像の造形美と彫りの細かさがよく分かります、入館料の400円は絶対に安いです。
ヨレヨレになり、聖域から現生に戻る太鼓橋を渡ると煩悩が湧いてくる~。疲れた体には甘いものだ! お昼に集落で見つけていた和菓子屋さんに名物「よもぎ餅」を買いに行くも、バチ?が当たったのか売り切れ・・・。仕方がないので、その手前にあった「栄吉」さんで「よもぎ回転焼(1個100円)」を買い、疲れた体を癒し帰路につく事にした。「龍」のパワースポットを巡ることで、より良い辰年を迎えれそうな気がする(掲載日には今年だが・笑)!
おわり