ソノひびヨリ 第四六話
兵庫県淡路島・洲本
『大阪最南端の町から淡路島・洲本をつなぐ深日洲本ライナーに乗船』
<後編> 2026年 7月11日

洲本ポートターミナルより三熊山を見る

灼熱の中、現代アート風の狸に化かされる


 「宅左衛門」と別れを告げ、近くの寺町を歩くことにした、とにかく日陰が欲しい(汗)。だけど時刻は一二時半、お日様は真上で何処にも日陰はない、絶望的な暑さです! 次の狸を目指すため進路を東に、ヘロヘロになりながら洲本市役所方面に進み出せば! 小綺麗で老舗そうな和菓子屋「原口松竹堂」を発見、店頭に張り出されているポスターに目が釘付けになった~。それは涼しげなアイスのポスター、それも美味しそうな「くず餅アイス」! 命からがらクーラーの効いた店に入り、アイスを物色、大好きな宇治金時は売り切れ・・・。六種類の内、四種類は人気のため売り切れていた、もう何でも良いと残っているいちご味を購入。初めて食べる「くず餅アイス」、食感は「くず餅」そのもの!! 喉を潤す爽やかな酸味、これ美味いです! 洲本に来たらぜひ食べて欲しいアイスですよ。無茶苦茶オススメします!

とにかく暑かった、寺町界隈
創業大正五年の御菓子司・原口松竹堂さん、お隣には姉妹店のフレーズ洋菓子店もありました。

 命を取り留めてくれたアイスを食べ終わり、幾分か体調も復活しました。洲本市役所方面に五〇〇mほど歩いて、本日七匹目の狸に遭遇のはずですが・・・。洲本市役所の近く栄町一丁目の交差点に、狸石像があるはずなのに? 居ないのです!

そこに摩訶不思議な石像がありました!? これが狸!? 見た目、狸にはほど遠い現代アート風の彫刻です。

 その現代アート風の彫刻が「大入道だぬきの桝右衛門(ますえもん)」と言って、いつも昼間からお酒を飲んでゴロゴロしてばかりいる怠けもの狸だそうです。だけど夜になると、道に迷って困っている老人の道案内をしたり、しつこい酔っ払いに絡まれている娘さんを、大入道に化けて助けてあげる善行な狸だそうです。

 どうやらこの石像は狸のお腹をモチーフにして、その上には「桝右衛門」の大好きなお酒をイメージさせるため、お猪口を置いているんですね。う~ん、難解でシュ~ルなアート狸石像です。

 「桝右衛門」のお腹をみていると、こちらも無性にお腹が減ってきた、共にこの暑さを凌ぐため「大人の麦ジュース」でも呑みたい~。時間は一三時過ぎ、「洲本八狸」巡り中、目を付けていたお店に向かうことにした。

上・栄町一丁目の交差点よりの洲本市役所、立派ですね~。
下・交差点の北東角に「桝右衛門」は、お酒を呑んで寝ています(笑)。
これが「桝右衛門」さんです、シュ~ル!!

また来たくなる、普通の食堂。これが旅路の食事です。

 「桝右衛門」がいる栄町一丁目交差点から約五分、午前中に歩いたシャッター商店街だった「内通商店街」の西端に位置する「お食事処・なだ市 (手打ちそば・うどん)」さんに到着。見た目はごく普通の「そば・うどん屋」さんなのに、「なぜ?」ここにするかと言えば、ちゃんと理由があります。それは、この佇まいにメニューを見たら、地元民から愛され人が集まり、永く営業されていそうなお店だと感じたからです。他にも、歩いている途中に美味しそうなお店もたくさん見かけましたが、何処も少し観光客に寄ったお店で、本来の「洲本」の日常の姿を感じられないからです。

 旅の本質は「行った先の日常を見る」この事が私にとって一番の旅の醍醐味だと思っているので。それに、男一人旅、おまけにおじさんの(笑)、小洒落たお店は似合わないですしね。

 暖簾をくぐれば、安定の店内、夏でもぐつぐつ煮えたおでん、冷蔵ショーケースにはキンキンに冷えたビール! 全て満点の地元民愛用の食堂ですね!

上・昭和平成と洲本の働く人のお腹を満たしてきた「お食事処 なだ市」、良い店構えです!
下・おじさんの昼呑み定番「キリンラガー瓶」と「おでんのゴボ天、じゃがいも」
おでんが一つ百円でした、安い!! 夜は居酒屋としても利用できるメニューもたくさんあります。
この日のメインは淡路島の玉ねぎをふんだんに使用した「かき揚げそば」です。
メニューがいっぱいで目移りしてしまう! 夜に来たいお店です。

 愛想の良い女将さんと居心地の良い店内でゆっくり食事を取っていると、常連らしきお客さんが入店。カウンターに腰掛け、店主さんとすぐさま話しだす、何も言ってないのに女将さんはビールを持ってくる。流れるような連携に日常の柔らかい時間を感じる、ただ話していること(方言?)がよく分からないのです。神戸の言葉でもないし、香川や徳島ぽいような違いような・・・、あえて近いなと思ったのが、今朝船に乗った大阪泉南地方の海沿いの言葉に似ていると思いましたね。荒っぽいけど心地よいリズムの会話です。そりゃそうかもしれません、海を挟んで対岸まで二〇kmと近い、元は同族だったかもしれないですよね。

 瓶ビール二本も頂き気力も充実した、そろそろ最後の狸に会いに行きましょう~。

店を出て八匹目の狸へ向かう道中に、阪神タイガースの近本・村上両選手のサインレリーフを発見(洲本市役所裏)。
その近くの「道の駅」?。お土産はここで買いました。

トリを飾る狸は、絶世の美人狸!?

 「お食事処・なだ市」から「道の駅」に寄り道して八匹目の狸が居る、「洲本市民広場」へ到着。この市民公園は「洲本市新都心ゾーン」の中核を成す公園施設で、園内には「近代化産業遺産」に認定される「赤レンガ建築群」が遺されていました。

 その赤レンガの建築物は、鐘紡(現在・クラシエ)洲本工場だったそうで、今は複合文化商業施設「洲本アルチザンスクエア」として図書館やレストラン施設として再生されています。目的のラスト狸を探していれば、「洲本アルチザンスクエア」の西入り口付近のレンガの前に居ました!居ました!最後の狸が~。

旧鐘紡洲本工場だった「洲本アルチザンスクエア」
居た! あれ?美人狸!

 最後の狸の名前は「美人だぬきのお松」さん! この「お松さん」のキャラ設定も芝居じみてよく出来ています(笑)。芝居好き狸の「芝右衛門」の娘で大変な美人狸! 洲本で評判の美人狸には結婚を申し込む狸はたくさんいて、その中から「阿那賀(あなが)の与茂太夫(よもだゆう)」にほだされ嫁入り。だけどこの「与茂太夫」は曲者で遊び好き、嫌気がさした「お松さん」は離縁してお里へ帰り。その後、彼女の前に現れた真面目な「台場の伊助狸(いすけ)」と結ばれて幸せに暮らしたと言うハッピーエンドなお話です~。

 全部まわって思ったことは、本当に全キャラを芝居仕立てでよく出来てますね、お話が(笑)! あてのない旅にはぴったりで、現実と虚無の世界を行ったり来たりできるおとぎ話的散策になりました。後で知ったのですが、以前はスタンプラリー企画をしていたようです。これは面白いので、また再開してください! 例えば大阪「くいだおれ角座ビル」を出発点にして、「深日洲本ライナー」に乗船して「洲本八狸」を巡りスタンプを集める企画を。コンプリートしたら「芝右衛門」のマスコットチャームお守りをプレゼントとか! 洲本市観光局の皆様、お願いします~(笑)。

お松さん、ちょっと「やまんなかタヌキ」さんに似てるかも(ごめんなさい・笑)。
お松さんのお向かいがイオンモール

 巡り終えた時間は一五時半、帰路の船の時間まで約一時間。バタつくのは嫌なので、「洲本アルチザンスクエア」西向いのイオンで大人のスポーツドリンクを買ってポートターミナルでしっぽり酒盛りして時間を潰そう(笑)。

 本日も暑かったけれど面白い旅になりました。これにて幕引きです。

クーラーの効いたポートターミナルで呑もうとしたけど、それじゃあ場外舟券を買っていたおじさんと同じだと思い外へ。
帰りに発見・・・、「洲本八狸」の紹介を(苦笑)
良い眺めです。午前中に登った三熊山に展望台が見えます。
そろそろ出港の時間です。また来たいです!!
コンプリートした「洲本八狸」、またね!


おわり

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