三軒茶屋跡〜ちょっとよりみち展望台〜祓殿王子(距離 約一,九km・高低差 約六〇m・歩行時間 約三五分)
「三軒茶屋跡」を出ると少し登り坂があるが、たいした事はない、時おり見える熊野川に気持ちが高揚し、歩く速度があがるのだ。
先を急ぎたい、そんな気持ちを抑えて「ちょっとよりみち展望台」へ。ここは、どんなに疲れていても寄り道して欲しい! 木の階段を昇れば、展望台から「大斎原」の大鳥居が見える。歩いてきた者だけが感じられる感動があります。
感動を胸に、再び古道へ戻り進みます! この辺りの古道は石畳の下り道になっている、ここもよくテレビで見る所です。ゴールはもう直ぐですが、焦らずに歩くこと。朝露や雨水が地表に染み出し、滑りやすくなっているので注意。
後の方で声がしたので、杉木立を抜けた所で「ヒザ男」を待っているとゾンビのような歩き方で現れた! 聞けば石畳で滑ったそうだ、「もう少しだから、頑張れ」と言ったが、ゾンビには言葉が分からないようだ。
そんなゾンビを置いて、先に進むと「賽の河原」のようなものに出くわした。「祓殿石塚遺跡」の説明板を読むと「参詣者が自ら穢れを清めるため、石を積み上げた」と書かれていた。
やってきたゾンビに石を持たせ、積まそうとしたが上手くいかず諦めた。本宮まで四〇〇m、古道とも別れ住宅街に入って行く。
祓殿王子〜熊野本宮大社(距離 約二〇〇m・高低差 約六〇m・歩行時間 約三分)
住宅街に入れば間もなく、最後の王子さま♪「祓殿王子」に着いた。この辺りを歩く時は静かにしましょう、ゴールが目の前なので騒ぎたいのは分かりますが、住宅街のど真ん中なのでご法度です。
チェックポイントのスタンプを捺印して振り向けば、熊野本宮大社の裏鳥居が見えた。裏鳥居まで、ゆっくり噛み締めるように近づいた。すると、朝の光が鳥居に差し込んだ! あまりの感動に隣りにいるゾンビの肩を叩くと、ゾンビは「痛い!痛い!」と言葉を発した。霊験あらたかな「熊野パワー」で彼は人へ戻っている。これで安心と鳥居をくぐった。
熊野本宮大社〜大斎原(距離 約八〇〇km・高低差 約〇m・歩行時間 約一〇分)
まずは拝殿にて、旅の無事の感謝を伝えにお参りをした。お賽銭には五〇〇円と大盤振る舞いです。その後、スタンプを捺印! お参りと捺印後はやる事もなく境内をうろうろとしていると、あの有名な「八咫烏の黒ポスト」を発見した。誰かにハガキでも送ろうかと考えるも面倒くさく、送る相手もいないのでやめて散策を続ける。
そうすると、社務所の裏にある宿舎のような所から「大斎原」の大鳥居が見えた。なんだか「早く来なさい」と誘われているような気がしてくる(笑)。「ヒザ男」に『行くぞ!』と叫び、なぜか参道の横にある脇道を下りていった。
熊野本宮正面の鳥居の向いから、石畳の参道が「大斎原」まで続いていて迷う事ともない。二〇mほど進んで、右に曲がれば大鳥居に続く道だ、両側が田畑で歩くのが気持ちいい。「ヒザ男」も最後の力を振り絞り、「カクカク」と気持ちよさそうに歩いている姿が頼もしくみえた。ゴールすれば「中年・深酒・運動不足が、よくぞここまで歩いたもんだよ」と褒めてやりたいと思った。
おわり。
大鳥居の前まで来て、二人揃って大鳥居をくぐった。その途端「終わった〜! もう、歩かないでいいぞ〜」と叫びしゃがみ込む「ヒザ男」。オレは彼に言ってあげた「まだ、終わってないよ。最終ポイントのスタンプは、この奥にあるよ」と。
彼はそこから一歩たりも歩かなかった・・・。おわり。
三軒茶屋跡〜熊野本宮旧社地 大斎原