還暦前、写真家の「写して候・寄って候」
天皇御陵踏破の旅
江戸時代 <中期> 一一三~一一七代天皇陵
五十路もなかばの頃、ふと考えた。
日本国とは何なのか、日本人とは何なのか。
その答えを探す為に、2600年を遡る時空の旅へ出た。
イデオロギーなど関係無い、ただ、今そこに残る時間の集積を写してみたい。
写真取材 赤木 賢二
月輪陵(桜町天皇陵)
一一五代/桜町(さくらまち)天皇陵
諱/昭仁 てるひと
在位年/西暦一七三五~一七四七年
陵形/九重塔
皇居/京都御所
所在地 月輪陵 京都府京都市東山区今熊野泉山町 泉涌寺内
最寄駅 JR・京阪本線「東福寺」下車、約1,5km、徒歩約25分。
父帝「114代・中御門天皇」の譲位により践祚、16歳で即位した「115代・桜町天皇」。この御代には、江戸幕府の「将軍・徳川吉宗」の理解・助力を得て長らく途絶えていた、朝廷儀式の復古に力を入れた。それにより、「大嘗祭」の再復活や「新嘗祭」、「宇佐神宮、香椎宮、春日大社」などへの「奉幣使」などの儀礼を復活した。このことにより、天皇の権威向上に努めていたことが窺える。
28歳で譲位し、3年後の31歳で崩御した。その御陵は「泉涌寺」内、「月輪陵」にある。
転法輪寺
今回も「115代・桜町天皇」の足跡を探して京都右京区御室の「仁和寺」近くの「転法輪寺」に訪れた。ここには崩御された「桜町院(天皇)」の追福のために造られた、高さ約7.5mの大きな「阿弥陀如来座像」があると聞き。
京福北野線「御室仁和寺」下車、徒歩・約11分、約700m。
梅が咲き始めている。旧正月が過ぎ、春の訪れを感じる。天気は曇天だが・・・・。竜宮城のような楼門をくぐり本堂へ向かう。
「御室大佛」と呼ばれる「阿彌陀如來座像」がおられる本堂。庭には静謐感が漂い、ポンコツ写真家には不釣り合いだ(苦笑)。
「御室大佛」の撮影がOKなことを知り、カメラを用意して本堂内に向かうことにした。
本堂内、正面からの「御室大佛」。確かに大きい! 写真では分かりにくいかもしれないが。もしも、立てば15m位になるのだろうか・・・。
大仏の前には1.2メートルほどの「一木の巨大木魚」だ!聞けば、日本で2番目の大きさだそう。
「御室大佛」の後ろにある「光背」に「桜町天皇」の遺品である鏡がはめられている。これは珍しく感じた、天皇が日常お使いになった物を仏像の一部にするとは・・・。全体的に美しい大仏さまです。
「桜町天皇」に携わる品はそれだけではなく、先ほどくぐった「楼門」の釣鐘には「桜町院(天皇)」の名が刻まれている。その転写が本堂に飾られていた。
もう一度、逆側と正面から美しい大仏の姿を焼き付けて、
次の旅に出よう。